「中学3年生で不登校になったら、公立高校はもう難しいですか?」
「小中学校ほとんど通わなかったから、ちゃんと高校卒業できるか不安です」
などなど、進路に関する相談をよくお受けします。
中学生の時に不登校でも、高校や大学に進学したり、就職したりすることは十分に可能です。
そこで今回は、不登校の中学生が高校進学したいと思った時に知っておいてほしいことをご紹介します。
中学生で不登校は高校受験に不利?
インターネット上で調べてみると、
「中学3年生の時の欠席が30日を超えると、公立高校進学はほぼ無理」
「不登校生は高校進学してもまたすぐ学校に行けなくなる」
といった意見も散見されます。
こういうものを聞いていると、不安になってしまいますよね。
不登校=進学できない、ではない
まず、不登校だから高校進学できない・いい仕事に就けないということはありません。
中学校にはほとんど通わないまま、高認を取得して四年制大学に進学した人もいます。
高校までずっと不登校だったけど、自分に合う仕事を見つけて、今は楽しそうに日々を生きている人もいます。
不登校だから人生終わった、なんて考える必要はないのです。
むしろ、学校に行かない分、自由に使える時間が増えますから、人が10代のうちには考えないようなことまで考えを巡らせることもできます。
学校に行くか行かないかではなく、その先の人生をどうするか、自らの意志で選択できるかが重要なのです。
受験方式(評価基準)によっては不利に働くことも
ただし、内申点を重視するような受験方式だった場合には、欠席日数が多かったり成績が悪かったりすることが不利に働くかもしれません。
公立高校の一部には、「年間の欠席日数が30日を越える場合には、審議対象とする」と表明しているところもあるようです。
そのため、志望校の受験では何が重視されるのか、あらかじめチェックしておくことが大切です。
まずは在籍校の先生に状況を確認しておこう
高校進学したいと思ったら、まずは在籍校の先生に状況を確認しましょう。
現時点で欠席日数は何日なのか、欠席理由はなんと書かれているのか、3年次の成績はどうなりそうかなど……。
受験する意志を伝えれば、プリントをくれたり、定期テストを自宅で実施させてくれたり、成績を少しでも上げられるように支援してくれるところもあります。
地域によっては、中学生の時に充分に学業に取り組めなかった子のための高校や受験方式などもあるようです。
先生がたが知っている情報もあるでしょうし、できるだけ協力体制を組めると良いですね。
高校受験を考える不登校生に知っておいてほしいこと
高校選びなど具体的な話をする前に、不登校生に知っておいてほしいことがあります。
1. 高校と中学で大きな違いはない
もちろん進学すると、環境は大きく変わります。
進学する高校によっては、これまでの知り合いがまったくいなかったり、これまで立ち寄ったこともない駅が生活圏になったりするでしょう。
ただ、「中学」と「高校」自体は、大きな違いはないのです。
学校にもよりますが、ほとんどのところではクラス制が導入されていて、クラスに先生が来て授業を受けます。
学校行事もありますし、グループで話し合ったりクラスメイトの前で発表したりするような授業もあるでしょう。
だから、もしあなたが中学校に対してネガティブなイメージを持っているのなら、それが高校で解決できるのか、それともさして変わらないのか、慎重に考えてみてください。
2. 高校進学の「先」が大切
高校進学に限った話ではなく、大学進学も就職も、どれも「ゴール」ではありません。
高校に進学したら、高校生活が待っています。
高校生活を3年余り過ごした後は、次の進路選択があって、選んだ先でも生活は続いていきます。
だから大切なのは、「どの高校にするか」ではなく「高校でどんなことをして、その後どうなりたいのか」ということなのです。
3. いつからでも人生は取り戻せる
「中学3年生で不登校ならもう高校は選べない」なんて言ってくる人がいますが、それは間違いです。
仮に高校に進学できなくとも、高卒認定試験を受けて大学進学する人もいるし、高校を辞めてから編入していく人もいます。
社会人になってから高校や大学に行き直す人もいます。
人生は、いつからでもやり直せるのです。
そのペースは人とは違うかもしれないけれど、人生のスピードなんて人それぞれ違って当たり前。
どんな経験も、どんな時間も、無駄にはなりません。
だからどうか自信を持って、「こんな自分は」と思わないで、ただ純粋に、自分の心に素直に、進路を考えてみてください。
不登校生でも行きやすい高校
通信制高校
通信制高校は、その名の通り”通信による教育を受けられる”高校です。
毎日学校に通うのが難しい生徒や通常の学習が難しい生徒以外にも、社会人の方の学び直しや、学業不振などによる編入・転入も多く、さまざまな人が通います。
主に、スクーリング・レポート・テストの3つに取り組むことで単位を取得し、3年~4年ほどかけて卒業します。
週に数回通うところが多いようですが、それ以外にも、年1~2回の合宿に参加するだけで良いなど、学校によって通うペース・学習方法は異なります。
登校日が少ない分モチベーションを保ちにくく、全日制高校よりも卒業率が低いため、サポート校などを併用して学習に取り組むことが多いようです。
定時制高校
定時制高校は、全日制高校と同じように、週5日学校に通って授業を受け、テストなどをこなして卒業します。
以前は夜間(夕方から夜)に授業をおこなうのが一般的でしたが、現在は昼間・夜間の2つから選べるところも増えてきました。
卒業するために必要な単位数は全日制高校と同じ74単位で、最短3年間で卒業することが可能です。
働きながら通う生徒も多く、生徒が科目に深く関わるような仕事をしている場合には単位が認められるというような制度もあります(実務代替え)。
卒業後に即戦力として社会に出れるような人を育てようとする狙いがあるのでしょう。
クリエイティブスクール・チャレンジスクール
地域によっては、不登校などを含めた「中学生時代に、なんらかの事情から学業に取り組めなかった生徒」のための高校を設置しているところもあります。
例えば神奈川県には「クリエイティブスクール」という高校があり、中学校で力を発揮しきれなかった生徒を積極的に受け入れています。
特徴としては、「高校入学後に、中学校の内容の補習を受けられる」「入学試験時に成績ではなく面接など当日の結果を重視する」といったものがあります。
地域によって異なりますので、興味のある方は確認してみてくださいね。
高校に行かなくても大学進学はできる
無理に高校進学しなくとも、高認を取得することで、大学や短期大学、専門学校などに進むことができます。
高校までと、大学には、大きな違いがあります。
クラス制がなくなり、一人ひとりの自由度が格段に上がることです。
中学校までは、クラスの隅でひとりで本を読んでいると「陰キャ」と呼ばれたり、浮いている扱いされたりして、「いかにグループに溶け込むか」「いかに孤独にならないか」が重要になりますよね。
でも大学は違います。
みんなの雰囲気に合わせることよりも、自ら考え、選択し、行動することが大切になります。
だから、もし今あなたが、学校の雰囲気に馴染めず悩んでいるとしたら、それは大学に進めば自然と解決できるかもしれないのです。
「進学」というかたちに拘らず、どんな方法が自分にとって最適なのか、いろいろな可能性を考えてみてくださいね。
不登校生が進路を考えるときのポイント
高校進学を考えた時に難しいのが「高校選び」。
この先3年間通うものだし、どんなところが合うのか選びきれないですよね。
特に中学校に行っていなかった場合には「ちゃんと通えるかな……」「勉強についていけないかも……」など、いろいろ不安になりますよね。
進路を選ぶ時には、ぜひ以下の3つのポイントを大切にしてみてください。
1. 目的・目標に合っているか
先ほどお伝えした通り、高校進学は「ゴール」ではありません。
重要なのは、その後にどんな進路を選択するか。
あなたがどんな人生を送りたいのかです。
将来就きたいと思っている職業ややりたいことがあるのなら、できるだけそれに直結する進路を選びましょう。
なんとなく興味のある分野を選ぶのでもいいですし、「この先生面白そう」とか「この授業受けてみたい」とかでも大丈夫です。
「目的意識をもって高校に入学する」ということが、大切です。
2. 自分のライフスタイルに合っているか
「朝起きるのが苦手」という方なら、全日制の高校よりも、登校時間の選べる通信制高校や定時制高校が合っているかもしれません。
就職活動時には、大学や専門学校の学歴をチェックする企業は多くありますが、高校まで細かくチェックするところはほとんどありません。
だから全日制・通信制・定時制などにこだわらずに、自分のライフスタイルに合っている場所を選んでくださいね。
3. 無理なく通えそうか
中学までの知り合いと絶対に会いたくないという人は、高校は比較的遠いところを選ぶと思います。
でもそういう時は、必ず「毎朝の通学シミュレーション」をおこなってください。
どれぐらい時間がかかって、何時に家を出ることになり、電車の混み具合はどれくらいで、帰宅する時間はいつぐらいになるのか……。
いざ通い始めたら思ったより通学が大変だった、なんてことがあっては、それからの3年間がつらいものになってしまいます。
通学時間だけでなく、授業の難しさやフォロー体制、行事の頻度など、さまざまな視点から無理なく3年間通えそうかを考えてみてくださいね。
まとめ
今回は、高校進学を考えている不登校生に向けて、高校選びのポイントなどをご紹介しました。
早いうちから自分の将来・進路について考えてみるのは、とても大切で、価値のあることです。
このコラムを参考に、ぜひ一度ご家族とも話し合いながら、考えてみてくださいね。
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