新年度は不登校から復帰するチャンス?再登校の注意点と5つのポイント

新年度や夏休み明けなど、区切りのいいタイミングで復学を考える方は多いのではないでしょうか。
たしかに親としては「今度こそ」と意気込みがちな季節ですよね。

しかし、不登校の子どもたちにとって、春はちょっと(すごく)憂うつ。
いつもとは比べ物にならないくらいの大きなプレッシャーを抱え、「いい加減学校に戻らないと」と自分を追い詰めやすい季節なのです。

 

目次

新年度は不登校克服に良いタイミング?

わたし自身、不登校から学校へ戻ったのは「3学期の初日」や「夏休み明け」など、区切りのいいタイミングでした。
でもそれは、わたし自身が「学校に行きたい」と思えるようになったからではありません。

周りからのプレッシャーや将来への不安、世間の目に耐えられなくなったから学校に戻ったに過ぎないのです。

新年度に学校に復帰しやすいタイプ

学校に行かない理由によっては、新学期や新学年といったタイミングは、学校に復帰するいい機会になります。

クラスメイトや担任の先生との人間関係トラブル

クラスメイトによるいじめや、担任の先生への苦手意識など、人間関係によるトラブルから学校に行きにくくなった場合は、学年が切り替わることで学校に行きやすくなる可能性があります。

ただし、いじめなどは再発しやすいため、学校側と綿密に対策を練る必要があります。

なんとなく欠席が続いて行きにくくなっている

「なんとなく欠席が続いて、今更戻りづらい……」と考えている子にとっても、新年度は良いタイミングとなるでしょう。
ただし、前の学年の時のクラスメイトがいると「あの子、前は来てなかったんだよ」と噂になるなどして、また学校に行きにくくなることも考えられます。

なるべく人間関係を再構築できるようなクラス編成にしたり、担任の先生を中心としてフォロー体制を整えたりすることが大切です。

新年度に学校に復帰しにくいタイプ

上記2つのタイプに関しては、新年度を迎えると共に学校に復帰しやすいといえます。
一方で、「新年度だからといって、特に学校に戻りやすくはならない」ものには、以下のタイプがあります。

学校そのものに対して恐怖・苦手意識がある

いじめなどによって、学校自体に対して苦手意識がある場合には、学校復帰は難しいでしょう。

転校などで環境を大きく変えたり、学校以外のところで居場所を見つけたりすることで、次第に学校への恐怖心が薄れることもあります。
ただ、「どうせ次の学校でもああなるんだ」などと考えてしまうこともありますので、解決を急がずに、根気よく見守りましょう。

部活動内などの人間関係トラブル

先ほど、人間関係のトラブルは新年度に解決しやすいと述べましたが、それはあくまでクラスメイトや担任の先生が相手だった場合です。

部活動内の、顧問の先生や先輩後輩とのトラブルについては、学年が上がっても大きな変化はありませんので、新年度を機に学校復帰することはおすすめしません。
「部活動なら辞めれば済むのでは」と考えるかもしれませんが、辞めてもその先生や生徒たちは学校内にいますから、もっと根本的な部分に目を向ける必要があります。

学業・成績不振

テストや宿題など、学習面のプレッシャー・ストレス、成績不振が要因で不登校になった場合も、新年度は良いタイミングとはいえません。
むしろ、新学年でより難しい授業になることで、以前よりも大きなストレスを抱えてしまう子どももいます。

家庭環境などによるストレス

離婚や引っ越しなどで家庭環境・生活環境が大きく変わって子どもが疲れてしまった場合など、家庭の中に不登校の理由があると、新年度に学校復帰することは難しいでしょう。

新年度は、あくまで学校生活の区切りであって、生活そのものの区切りではありません。
まずは子どもが抱えている不安や悩みを解消し、十分に休息する期間をつくることが大切です。

そもそも学校復帰する段階でない

どんな理由にせよ、そもそも本人が学校復帰する、他者と繋がる段階でなければ、学校へは復帰できません。
まだ休憩が必要な子に無理に復学を薦めると、かえって落ち込む期間が長引いたり、無理に復帰してより傷ついてしまったりするおそれも。
お子さんそれぞれの様子をよく見て、その時その時に合った声掛けをしてあげてくださいね。

不登校から回復する段階について、下記コラムをご参照ください。

再登校する時の注意点

不登校から復帰して再登校する時、「やっとか……」「これで普通に戻れる!」と考える親御さんも多いのではないでしょうか。
しかし、せっかく再登校しても、またすぐに学校に行くことが苦痛になって、行けなくなる子がたくさんいます。
それは、親と子の間で、大きなすれ違いがあるからなのです。

「再登校=回復した」ではない

周りの人は、子どもが再び学校に行くようになると「もう大丈夫」と考えがち。
でも、人の心というものは、そんなにすぐに切り替えられるものではありません。

体調が悪い時だって、今日から元気100%!とはなりませんよね。
熱がぶり返したり食欲が増減したりしながら、少しずつ回復し、やがて万全の体制になっていきます。

不登校も、同じこと。
再び登校するようになっても、気持ちはしんどいのかもしれないし、体調にはまだ波があるかもしれません。

学校に行くまでのフォローが大切なのと同様、学校に行ってからのフォローも大切なのです。

親の期待は、時に子どもを追い詰めてしまう

人は、何か良い出来事があると、つい「次はこうならないかな」「今度はこれも成功するだろう」と、より大きな成果を求めてしまいます。

学校に行けなかった・行かなかった子が、学校に行くようになった。
じゃあ、明日も行けるだろう。
じゃあ、授業にも取り組めるだろう。
じゃあ、毎日しっかり登校できるだろう。

でも、ちょっと待ってください。
「1日学校に行ける」ことは、「毎日学校に行ける」ことの証明にはなりません。
「学校で過ごせる」ことは、「授業を受けられる」ことの証明にはなりません。
それぞれはなだらかな道で続いているのではなく、その1つひとつに、大きなハードルが立ちはだかっているのです。

期待する気持ちは十二分に分かりますし、その気持ちが悪いわけではありません。
ただ、「どの子も、親や大人の期待には応えようとする」ということを、覚えていてください。

再登校を決めるのは、子ども自身

子どもが学校に行けるくらい元気になった時や、「ちょっと行ってみようかな」と思った時、親御さんが学校に行く日程を決めてはいませんか?

再登校を決めるのは、子ども自身です。
行くかどうかは、あくまでお子さんに委ねてください。

人に決められたことをこなしても、達成感や充足感は得られません。
自分が決めたことだから、達成したいと思うし、できた時に嬉しいし、がんばりたいと思えるんです。

お子さんに委ねると、もしかしたら家族が考えるよりゆっくりなペースになるかもしれませんが、それはそのペースがその子に合っているということ。
焦らず、急かさず、見守りましょう。

「新年度からは行くよ」と言われた時の心構え

「4月からは学校に行くよ」
「夏休みが明けたら行ってみようかな」

そんなふうにお子さんが言ってきたら、ついつい期待しちゃいますね。
「え、じゃあ準備しよう!」って、あれこれ先回りして動く親御さんもいらっしゃるかもしれません。

そういった時の「心構え」についてご紹介します。

一喜一憂せずに、フラットに受け止めよう

まずは、冷静に受け止めましょう。
大切なのは、「学校に行っても行かなくても、あなたはそのままでいいんだよ」というメッセージをお子さんに伝えること。
あえて言葉で伝える必要はありませんし、感情を無にする必要もありません。
お子さんによっては「え、喜んでくれると思ったのに……」と落胆してしまう子もいます。

でも、学校に行けるのが嬉しいわけではないですよね。
学校に行けるくらい元気になったことが、家以外の場所に踏み出してくれたことが、嬉しいのではありませんか?

それを素直に表現すれば、無理に行かせようとしなくても、自然と子どもの足は外へ向いていきます。
学校に行っても行かなくても一喜一憂せず、まずは冷静に、フラットに受け止めましょう。

親の役目は「先導」ではなく「休息」であると知る

お子さんが学校に行こうとすると、多くの親御さんは、先回りしてしまうんです。
「じゃあ、先生に報告しなきゃ!」
「車で送り迎えしよう!}
「授業に追いつけるように塾を探そう!」

でも、その「先導」の役目を担う人は、先生やクラスメイト、ほかにもたくさんいます。
家族の役目は「休息」です。

学校に行って疲れた後、気兼ねなく休めるところ。
何かあった時に気軽に相談できるところ。
良い子ぶらずに本来の自分として過ごせるところ。

そういう場所があるから、頑張れるんです。

思い通りにいかなくて一番落ち込むのは誰?

行こうと思っていたけど、やっぱり行けなかった。
一回は行ってみたけど、疲れて次の日からは行けなくなった。
「今度は、うまくいくと思っていたのに……」と落胆してしまいますよね。

でも、思い通りにいかなくて一番落ち込んでいるのは、誰なのでしょうか。

親御さんでしょうか、先生でしょうか。
お子さん自身ではありませんか?

頑張ろうと思った。期待に応えたいと思った。約束もした。
なのに、行けなかった。

それって、つらいんですよ。
できない自分を見せつけられているようで、「もう何をしたって無駄じゃないか」って思えてしまうんです。

だからせめて、家では責めずに、急かさずに、「大丈夫だよ」「もうちょっと休憩したらいいよ」と受け止めてあげてください。

学校復帰する時のポイント

心構えや注意点を理解していただけたでしょうか。
では最後に、学校復帰する時のポイントをご紹介します。

1.復帰する意志があることを学校に伝えておく

まずは学校側に、復帰する意志があることを伝えておきましょう。
そうすることで、学習のペースを取り戻すための教材がもらえるなど、フォローを受けやすくなります。

ただ、先生によっては、「じゃあお子さんと面談しましょう」などと、ついつい頑張りすぎてしまうことも。
お子さんの心に負担がかかっては元も子もありませんから、してほしいサポートなどがあれば具体的にお伝えすることをお薦めします。

2.学校に行くことも行かないことも特別扱いしない

「気構え」のところでも説明しましたが、学校に行くことも行かないことも特別扱いしないでください。

学校に行かない時に落胆している姿を子どもには見せないように。
学校に行く時に何かご褒美を用意することもお薦めしません。

ご褒美を用意すればお子さんは学校に頑張って行くでしょうし、一安心できるのかもしれませんが、「学校に行き続ける」には結び付きにくいもの。
時間はかかっても、お子さんが自ら学校に行こうとするようにサポートしていきましょう。

3.家庭内に「安心できる空間」を保つ

こちらも繰り返しになりますが、家庭内には「安心できる空間」を保ってください。

お子さんへの声掛けよりも、夫婦間・家族間のやりとりのほうが大切です。
子育ての方向性など、夫婦でぶつかることもあるかもしれませんが、そういったことはお子さんがいない場所で済ませるようにしましょう。

家が安全で安心できる環境だからこそ、お子さんは外で頑張ってくることができるのです。

4.まずは学校のリズムに慣れることから始める

昼夜逆転気味の生活であったり、ほとんど勉強しなかったりする場合には、「学校のリズムに慣れる」ことから始めましょう。

まずは学校に間に合う時間に起きられるようにする。
授業通りではなくていいから、1日1回机に向かう時間を作って教科書を開いてみる。

学校に行くようになってからも、いきなりすべての授業を集中する必要はありません。
得意科目や好きな科目だけ取り組んだり、休憩をとったりしながら、少しずつ学校のスタイルに慣れていきましょう。

5.学校に戻るペースは子ども自身が決めよう

学校に行くかどうかをお子さんに委ねるのと同様に、「いつ行くか」「学校でどう過ごすか」「いつから行くか」なども、すべてお子さんが決めるようにしましょう。

「週1日から」でも、「午後から」でも、「とりあえず明日だけ」でも、「やっぱり辞めておく」でもいいのです。
お子さん自身に決めてもらって、その決断自体には何も言わないようにしましょう。

自分で決めることをおこなうから、自信がついて、自己肯定感も高まるのです。

まとめ

今回は、新年度を機に学校復帰することの是非、注意点やポイントについてお伝えしました。

繰り返しになりますが、大切なのは学校に戻ることではなく、お子さんが笑顔で過ごせる日々を守ることです。
学校復帰に拘らず、解決を焦らず、お子さんを見守り続けるのは、簡単なことではありません。

つい期待するし、つい一喜一憂するし、つい学校へ行くことを薦めてしまうものです。
そんな時はこのコラムを参考に、子どもとの向き合い方について一考してみていただけたら幸いです。

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