現在日本では、年々不登校が増え続けています。
そもそも、『不登校』とは何でしょうか?
『不登校』にはどのような支援があるのでしょうか?
ここでは不登校の現状や、支援についてご紹介します。
不登校の定義
「不登校児童生徒」とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。
文部科学省「不登校の現状に対する認識」より引用
不登校は何人いるの?
令和5年における文部科学省(以下、文科省)の発表によると、小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は29万9,048人(前年度24万4,940人)と公表されており、前年度比22・1%の大幅増となっています。
日本の小学生約605万人 (過去最少) のうち約10万5113人が不登校、中学生約317万8000人のうち約19万3936人が不登校という現状です。
出典:「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
(令和5年10月4日公表)
行ったり行かなかったりする状況であっても、年間の欠席が30日未満や、遅刻・早退である場合、または 病院から診断書が出た場合は不登校に定義されません。
不登校支援の変遷
■普通教育機会確保法
正式名称は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(平成28年法律第105号)といいます。
国は、学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、学校外での「多様で適切な学習活動」の重要性を指摘しました。
不登校児童生徒の無理な通学は、かえって状況を悪化させる懸念があるとして、子どもたちの「休養の必要性」を認めています。
国や自治体は子供の状況を継続的に把握し、子どもとその親には学校外施設など、さまざまな情報を提供するよう求めています。
NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」によりわかりやすくまとめられたリーフレットをご紹介いたします。
下記のリンクからダウンロード可能です。
NPO法人 登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク [資料集]
■「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
令和元年10月25日、文部科学省初等中等教育局長から「不登校児童生徒への支援の在り方について」が、全国の都道府県教育委員会教育長、及び各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事等に通知されました。
この通知の中では 不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として
1)支援の視点
不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。
とあります。
「学校復帰」のみを目指すのではなく、「学校復帰」も含めた「社会的自立」を目指す必要があることが規定され、教育支援センターガイドラインからは「学校復帰」の文言が削除されました。
また、民間団体等との連携強化、ICTや夜間中学を活用した取り組みが重視されています。
本通知では、学校を魅力あるものにしていく必要があることともに、学校以外の場における多様な教育機会の確保が、各地域の教育委員会に求められ、フリースクール等の民間団体との連携、ICTを活用した家庭学習支援や、夜間中学の活用等も進めることが規定されています。
今後の不登校児童生徒への支援の在り方については、本通知に基づき、個々の児童生徒、保護者の状況に応じた支援等を行う必要性についても書かれています。
それまで30年近く続いてきた不登校支援策「学校復帰前提策」は、本通知をもって廃止されました。
出典:「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1375981.htm
(平成28年9月14日公表)
◼️誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策『COCOLOプラン』
令和5年3月31日に、文科省は省通知「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策『COCOLOプラン』」を公表しました。
その内容について記載します。
①不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
- 不登校特例校の設置促進
- 校内教育支援センターの設置促進
- 教育支援センターの機能強化
- 多様な学び場、居場所の確保など
②心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
- 1人1台端末を活用した心身の変化の早期発見
- チーム学校による早期支援
- 保護者の支援など
③学校の風土の「見える化」を通して、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
- 学校の風土を見える化
- いじめ等の問題行動への毅然とした対応
- 児童生徒が主体的に参加した校則等の見直しの推進
冒頭で紹介した「不登校児童生徒数の推移」だけではなく、「学校内外の専門機関等 で相談・指導等を受けた状況」や、「自宅における ICT 等を活用した学習活動を 出席扱いとした小・中学生数」なども、グラフで分かりやすくまとめられています。
さらには、義務教育から一歩踏み込んで、高等学校等における支援に関しても言及されています。
なによりも、冒頭の大臣メッセージには、これまでの不登校支援とは違う様子を感じることができるので、ぜひご一読ください。
出典:「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397802_00005.htm
(令和5年3月31日)公表
このように、不登校という行為自体は問題ではありません。まして、子どもや家庭が悪いわけでもありません。
「不登校」とは状態を表す言葉で、その状態には様々な原因が考えられるのです。
また、不登校支援は時代と共に、少しずつ変化しています。
未来地図では、今後も文科省や教育行政の動きを注視しながら、皆さまに安心な情報をお届けしていきます。
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