ゲーム・スマホ三昧で過ごす子どもに苛立ってしまう……親としてどうサポートすれば?

不登校になると、ただでさえ外出する機会が減りますし、他者との関わりも少なくなります。精神的な不安定さも影響して、ゲームやスマホ、ネットに没頭したり、昼夜逆転生活になったりする人がとても多いんです。

「少しでも人と話す時間をとってほしい」「ゲームばかりしていて大丈夫か不安」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。毎日一緒に過ごす中で、「どうしてゲームはそんなにやるのに学校には行かないの……」なんてモヤモヤした気持ちを抱える方もいるかもしれません。

しかし、不登校の子どもにとってゲームやネットは娯楽ではなく居場所です。そこで今回は、お子さんがゲームやスマホに熱中していて不安に感じている保護者の方・周りの方へ向けて、子どもの心理や対処法をご紹介します。

「ゲームばかりして平気?」と悩む親は多い

まず安心していただきたいのですが、お子さんの様子で悩んでいるのはあなただけではありません。特に「ゲームばかりしていて平気?」「漫画を読んでばかりで勉強しないのだけど……」と悩んでいる方は多く、Rizにもそういった相談が寄せられることがあります。

昼夜逆転のゲーム三昧。部屋には入れない。反抗期も重なり、話しかけると機嫌が悪くなり、手ががつけられないためここ最近は出来るだけ話しかけないようにしています。

周りには相談できる人もいません。
気持ちをどう持って行ったらいいでしょうか。
彼のために何が出来るでしょうか?

お子さんのことを考えればこそ、現状が不安になるし、どうにかしたいと思いますよね。

ゲーム三昧になるのは、現実が不安だから

不登校の子どもがなぜゲームや漫画、ネットにのめりこんでいくかというと、そこが安心できる空間だからです。彼らにとって現実は、怖くて、つらくて、過酷な世界。素直な気持ちを伝えられない友達や、頑張ることを求めてくる先生たちのいるしんどい世界です。その点ゲームの世界なら、何をすればいいかが明確だし、レベルを上げれば強くなれるし、否定するようなことを言ってくる相手もいません。どれだけ失敗しても、リセットしてしまえばいくらだってやり直せます。

ゲームに没頭するのは、それが楽しいからではありません。そうでないと不安だからです。怖いからです。

「普通じゃない」を受け入れられない

子どもたちは、知っています。大人が自分たちに対して「学校に行ってほしい」「ちゃんと働いてほしい」と思っていること。ゲームばかりするのは好印象ではないってこと。

だから、学校に行けなくなったり、朝起きれなかったり、ゲーム三昧になったりすると、罪悪感を持ちます。

普通じゃない。弱い。適応できていない。みんながやっていることをやっていない。
そういう罪悪感や無力感、自己否定の感情から逃れようとして、益々ゲームや漫画の世界に没入していくのです。

ゲームに没頭するのは「悪化」ではなく「改善」の過程

多くの保護者の方が勘違いされているのですが、ゲームや漫画に没入することは、お子さんにとって「悪化」ではありません。むしろ、改善の兆しです。

精神的に極度に落ち込むと、ゲームすら楽しめなくなります。自分が小さな喜びを感じることすら愚かに思えて、自己肯定をできなくなっていくのです。その点、ゲームに没頭できるのは、「趣味を楽しむ余裕がある」ということ。趣味にすら楽しめなくなってきたら、いよいよイエローサインです。

ここで理解していただきたいのは、「ゲームに没頭している現状」をどう受け止めるかです。「悪化」と捉えるか、「改善」と捉えるか。
わたしたちとしては、「ゲームを楽しめる分心に余裕があること」だと捉えているし、実際に不登校から回復していく過程でゲームやマンガの利用時間が長くなるのは往々にあることなので、「ゲームに没頭している=回復の過程」と捉えています。

※もし「ゲーム依存かも?」と感じたら
普段の生活が破綻するほど、持続的・反復的にゲームにのめり込む状態の場合には、ゲーム依存症の可能性があります。ゲーム依存症は精神疾患としても認定されていますので、もし不安があればメンタルクリニック・心療内科等を受診し、専門家の方からアドバイスを受けることをお薦めします。

子どもの生活習慣を改善する第一歩は「他者の理解」

繰り返しになりますが、子どもたちにとってゲームは「娯楽」ではなく「居場所」です。だから、例えば保護者の方がゲームを無理やり取り上げたり、話し合うことなく制限を設けたり、勝手に捨てたりすると、子どもたちは「居場所を奪われた」という感覚になります

居場所を奪われた。この人はきっと敵なんだ。
自分の行動を理解しようとはしてくれないんだ。

それでは不登校の改善はおろか、親子・家族の信頼関係さえ崩れてしまいかねません。

まずは、お子さんの話をよく聞くこと

保護者の方、つまりあなたが、お子さんの気持ちを理解すること。声に耳を傾けることが大切です。

ゲームのどんなところが魅力的なのか。
ゲームをしている時はどんな気持ちになるのか。
どんなことをやってみたいと思っているのか。

そういう話を聞いたことはありますか? もし明確に思い浮かばなければ、ぜひお子さんとコミュニケーションを取る時間を取ってみてください。一緒にゲームをしてみるのも良いと思います。

お子さんがゲームにのめりこんでいる状態を改善していくには、まず第一に「他者の理解」が必要です。つまり、あなたがた家族や周りの方が、どれだけお子さんの気持ちを理解しようとできるかが大切なのです。

勉強は、お子さんの気持ちが落ち着いてからでいい

学習面が不安になる方も多いとは思いますが、無理に勉強に取り組もうとする必要はありません。少しずつ心身の元気を取り戻していけば、自然とお子さんのほうから「そろそろ勉強しようと思うんだけど……」とアクションを取るはずです。元気な状態で一日ゲームをし続けるというのも、なかなかしんどいことですからね。

それでも不安な方は、「ゲームを制限する」方向ではなく、「勉強をプラスする」方向で考えてみてください。ゲームをやらなくなった時間がそのまま勉強に向くわけではありませんから、お子さんと話し合いながら生活リズムを作っていってくださいね。

最後に決めるのは、お子さん自身

ゲームをするにせよ、勉強をするにせよ、最後に選択するのはお子さん自身です。

勉強は大事だし、ゲームのしすぎは心配。でも大切なのは「何をやっているか」ではなく「何を感じているか」です。勉強をしていてもお子さんが孤独を抱えていたらいずれ耐えられなくなってしまうし、ゲームをしていてもお子さんが楽しく感じていたらだんだん元気になっていきます。

お子さんが何を感じ、何を求め、何に悩み、何を考えているのか。そこに目を向けていただけたら幸いです。

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