【インタビュー】親の会「御殿場HSC親子の会」に立ち上げの経緯を聞いてみました

親の会インタビュー企画!
今回は静岡県で親の会を開催している「御殿場HSC親子の会」について、立ち上げから今に至るまでのお話を聞いてみました。

まずは自己紹介をお願いします

こんにちは。静岡県御殿場市在住の櫻井です。
出身は愛知県です。
小学4年生の息子と、中学1年生の娘の、二児の母です。

御殿場市には夫の転職で引っ越してきました。10年経ちます。
もともと雪が少ない地方の出身なので、越してきて2年目の大雪(孤立した地区もあり、ニュースにもなりました!)にはビックリしました。
朝起きて窓の外を見たら、車の屋根しか見えませんでした!
毎日、美しい富士山と田園風景に癒されています。

趣味はDIYと着物。
仕事で七五三写真を撮っていたこともあり、アンティークの子供着物が大好きで集めています。
娘が思春期に差し掛かり、あまりニッコリしてくれなくなったのでさみしいです。
その分、息子がベッタリなので、これでもか!というくらい甘やかしてしまいます。
^^よろしくお願いいたします。

御殿場HSC親子の会はどのような親の会ですか

静岡県東部を中心に、「ひといちばい敏感な子ども=HSC」について正しい知識を広めようと立ち上げた団体です。
静岡県には私のほかにも数名のHSPメッセンジャーがいて、全国で同じように学んだメンバーが活躍しています。(団体名はそれぞれです)

HSP/HSCは、Highly Sensitive Person/Child の頭文字です。
感受性が高く、環境から受ける影響がとても大きい人たちです。
例えば子供の環境でいうと、
・音や光、味や匂いに敏感
・びっくりしやすい
・考えすぎる傾向があり慎重である
・共感性が高く、他の子が怒られていることで傷つく
・集団が苦手で疲れやすい
・自然やアート、音楽に感動しやすい
・空想が好き
などの表れがあります。

感受性が高いということは、声掛けや環境次第で、良くも悪くも発達に影響を及ぼします。
不登校になることも多く、一見ネガティブで弱い気質と思われがちですが、そうではなく、ささいな変化によく気が付き、他人の痛みが分かる、とても良心的で頭の回転が速い子が多いです。

HSP/HSCは遺伝で決まるので本人にはどうしようもありません。
常に刺激過多で疲れやすいので、しっかり休ませてあげて、自分の良さを肯定してあげれば、とても豊かに成長します。

学校や園で、間違ったレッテルを貼られ、自己肯定できない環境で育つと、自律神経が乱れたり、心の病にかかることもあります。

HSC(中学生以上はHSPとして)の正しい知識(生物学や神経学の観点)や、自尊心と自己効力感を高める関わり方を、保護者や学校関係者などに伝えています。

ご自身で親の会を立ち上げようと思ったきっかけを教えてください

息子が母子分離不安症となり、発達検査を受けましたが診断がつきませんでした。付き添い登校を始めてみると、息子が学校で嫌だと感じるポイントがなんとなく私にも分かりました。
色々と調べていくうちに、HSPという心理学概念にたどり着き、これだ!と確信しました。

知れば知るほど、自分のことを言われているようで、私自身もHSPだと気づきました。
幼少期から母親とうまくいかなかった理由も、私が普段何気なくやっているけど他の人とは違うと感じていたことが、一気に理解できました。

HSPメッセンジャーの養成講座で得た知識を元に、学校へ都度伝えるのですが、なかなか伝わりません。
HSP/HSCは少数派。そして学校の先生方の中にはほとんどHSPがいない、ということも分かりました。
何度訴えても、のれんに腕押し…。もどかしさが募りました。

そんな時、以前から話が通じるなと感じていたママ友が、HSPだとわかり、彼女の娘さんもまた、HSCで不登校を経験していました。

こうやって少しずつ理解者を増やし、学校や自治体へ困りごとを真剣に訴えることが必要だし、何より、敏感な気質を良くないもの、直すもの、と感じる人の多さにガッカリして、これはいけない!と一念発起しました。

実際に立ち上げてみてどんなことを感じましたか?

まずHSC講座を何度か実施してみて、その反響に驚きました。
「ようやく子どもの気持ちが理解できた」「自身の生きづらさはこういうことだったのか」「家族にもこれで説明できる」と喜びの声をいただきました。

また、自律神経「ポリヴェーガル理論」のお話もするのですが、ベビータッチケアの先生が受講してくださったときに、これはぜひ、園の先生や学校の先生などに広く周知すべき!と太鼓判を押していただきました。

癇癪を起したり、うつ状態に陥った子供が、どういう神経状態にいるのか、大人が分かるようになれば、声掛けが変わります。
興奮を収めることで育つ神経もあるんです。
また、大人だって辛くてしんどい時があります。そういう時は、自分が今、どの神経状態にいるのか判断できれば、どういう対策をとれば回復が早いのか客観的に見ることができます。

やはり知っている知識はどんどん伝えなければいけないし、子育ても教育も、知識が大事!これは必須のスキルだ。と改めて感じました。

運営していて印象に残っていることがあれば教えてください

もうすでにお子さんが大人になっている50代60代の人から、私たちの頃にこの考え方があれば、もう少し子どもへの対応が変わっていた…と言われました。
かつては、左利きですら矯正させられていた時代。不登校(当時は登校拒否)などはもってのほか!子どもさん自身も、自分をダメな人間だと卑下し、親子共に苦しかったそうです。

また、市の活動展示で、会の活動を報告した際、立ち止まって見てくださった男性に声をかけたところ、ずっとHSPについて調べていた、とのこと。
でも、教えてくれるところがなかったので、息子のことを100%理解してあげられなかった、とおっしゃいました。

不登校のお話会では、HSPのお母さんたちがたくさんいらっしゃるので、みんなもらい泣きの嵐!HSPは、人の痛みを自分のことのように悲しむことのできる人たちです。(だからこそ生きづらいので境界線は訓練します)

そして何より、私の息子が変わりました!10カ月で分離不安を解消し、みるみる明るくなっていきました。今、息子がどんな神経状態にいて、息子のストレス耐性を育てるには、どう関わったらいいか、私が学んだ知識をフルに生かしたからだと自負しています。

これからどのような会にしていきたいですか?

大きな目標は次の3つです。

・HSCをきっかけに子どもの多様性を当たり前にすること。
・教育機関等へ校内フリースクール設置を働きかけること。(HSCは疲れやすさをカバーすれば、明るく元気になります)
・不登校児童生徒に新しい学びのカタチを伝え、ご家族と共にその手伝いをすること。

具体的には、
・毎月1回以上、HSCの勉強会を実施します。
・園や学校向けにHSC研修を提案していきます。
・不登校支援として、学習サポートを始めます。
・学校と連携し、子どもの学校以外での学びを認めてもらう。(出席認定)
・子どもたち、地域の大人たちでチームを結成し、新しい教育、新しい学びのカタチを探していきたい。(キャリア教育)

御殿場HSC親子の会は、HSP同士の慰め会で終わるのではなく、HSPには非HSPを、非HSPにはHSPを知ってもらうためのきっかけづくりをしていきたいです。

最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!

HSCは病気や障害ではありません。
生まれつき左利き、目が青い、髪が茶色いなどと同じ、遺伝で決まる特徴です。
動物の世界では、敏感な個体は群れの危険察知に役立ちます。
進化上、必要があって生まれる敏感な子どもたちは、その良さを存分に生かし、認められ、育まれるべきです。
HSCという特性を、良い面だと捉え直すことで、親も子も、生き生きと変われます。

HSCが必ずしも不登校になるわけではありませんが、不登校の子供たちの中には、HSCが非常に多いのが現実です。不登校の子供にとって、家庭は安全基地でなければいけません。安心を感じられる場所がたった一つでもあれば、子どもは大丈夫です。

HSCの子育ては、他の子と違います。
不安が強い、新しい人や場所が苦手、集団を好まない、刺激に弱い、などの困り事ももちろんありますが、何よりも、丁寧に育てることが大切です。HSCの子どもたちは、普通に育てていても、愛情不足と感じことがあるのです。感受性が高く、人の気持ちがわかるので、上っ面の返事や、本心ではない言葉を見抜くから。「猫がいるね」「かわいいね」だけでは満たされず、「よく見つけたね」「声が聞こえたからかな」「さっき見た猫さんより大きいね」「あんなところにいて大丈夫かな」というように、より同じ目線で、より深い共感、より共に味わう喜びを知っているからです。心の奥深くでつながることを求めています。

HSP/HSCは、環境感受性が高い人たちです。
環境感受性とは、環境から受ける影響の個体差のことです。ポジティブな環境からはポジティブなメッセージを、ネガティブな環境からはネガティブなメッセージをめいっぱい受け取ります。
良くも悪くも、影響を受けやすい人。
ただそれだけ、とも言えます。

ですが、その影響は生涯にわたり続きます。
周りの理解とポジティブなメッセージで、HSCは驚くほど飛躍します。情緒豊かで感動しやすいHSCは、芸術や音楽、ファッションなどの世界で花開きますし、人の感情に寄り添うことができるので、弁護士や医師、セラピストにも向いています。些細な変化を見逃さないので、編集やプログラマなど、細かい神経を使う仕事も合っているかもしれません。

そう。HSP/HSCは持って生まれた能力。
繊細な気質は治すものなどではなく、活かして伸ばすべき才能なのです。
「あなたは、そのままでいい」と伝えてあげてください。

――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

◆親の会「御殿場HSC親子の会」の詳細はこちら
https://miraitizu.com/parent-meeting/38866
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