フリースクールとは?費用や単位・学歴の扱い、過ごし方などを解説

フリースクールとは、なんらかの事情で学校に通わない小中高生たちが通う、民間の教育機関です。
お子さんから「学校に通うのがつらい」と相談された時、あるいは自分で「学校に行きたくない」と感じた時、味方になってくれる場所になります。

しかし、いざフリースクールを考えた時、「どんな過ごし方をするのか」「どれぐらいの費用がかかるのか」などなど、分からないこと・気になることがたくさん出てきますよね。
そこで今回は、フリースクールがどんなところなのか、フリースクールに興味を持った時どうすればいいのか、といったことをご紹介します。

目次

フリースクールってそもそも何?

文部科学省はフリースクールを「不登校の子供を受け入れることを主な目的とする団体・施設」と定めていますが、フリースクール自体は法や制度などによって定められた学校ではないため、その定義はさまざまです。
規模や形態、費用も多種多様で、カリキュラムが決められていないようなところもあれば、学校のように規則正しい生活を重んじるところもあります。
現在の日本では「学校」とは異なる施設・機関はすべてフリースクールと総称されています。

フリースクールの現状

フリースクールができ始めたのは、だいたい1970年代中頃~80年代中頃とされています。
その後、不登校の生徒が増えるに連れて「子ども側ではなく、学校側に問題があるのでは」という考えが広まっていき、90年代頃から全国に誕生しました。

「不登校は問題行動ではない」という考えは、不登校の生徒の増加と共に認知されてきており、文部科学省が2015年におこなった調査によれば、全国に474ヶ所のフリースクールがあることが分かっています。

不登校の子どもたちとその保護者や家族を支える場所として、フリースクールは非常に重要な役割を担っています。
しかし、まだ社会の理解や支援は不十分であり、運営にかかる費用がまかなえずに閉じてしまうフリースクールも多くあります。

どんな人が通うのか

何らかの事情で学校に行っていない子が通うのが一般的です。
いじめや人間関係、授業・学習へのストレス、障害や病気、経済的事情・家庭の事情など、理由はさまざま。

また、広汎性発達障害(PDD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害や学習障害(LD)など、特性を持つ子どもも、集団でのコミュニケーションに疲れてしまうなどの理由から、不登校になることがあります。

発達障害や知的障害などをもつ子に特化しているフリースクールもあり、集団生活への苦手意識が軽減されるケースもあるようです。
ただ、すべてのフリースクールがその子にとって優しい環境になるとは限らないため、一人ひとりに合った場所を見つけることが重要です。

何人ぐらいの人が過ごしているの?

文部科学省の調査によれば、だいたい1施設あたり13.2人の子どもが通っているのだそうです。

全体の64%程度のフリースクールでは、子どもは10人以下。
学校やその他の施設と比べると、比較的少人数で過ごせるのではないでしょうか。

フリースクール内での過ごし方

フリースクールの主な活動は「相談・カウンセリング」と「個別の学習」の2つですが、場所によって過ごし方はさまざまです。
主に、以下7つのタイプに分類できます。

1. 学校復帰支援タイプ

学校復帰支援タイプのフリースクールは、「学校に通えるようになること」をゴールとしています。
そのために、学習面のほか、週5日制の規則正しい生活習慣を身に着けるためのサポートもおこなっています。

学校と同じようにカリキュラムを導入している施設が多いようですが、スクールカウンセラーが在籍していたり、相談をいつでも受け付けていたりと、精神的サポートが手厚いスクールもあります。

2. 子どもの意思尊重タイプ

学校復帰に重きを置いていないフリースクールも存在します。
このタイプのスクールの場合、学習についてもカリキュラムなどは準備せず、子どもの興味のある分野や学びたい科目についての指導をおこなうことが多いようです。

子ども自身が過ごし方を選択できるため、集団行動が苦手な子や、学校に対してトラウマのある子でも比較的通学しやすいタイプと言えます。

3. 完全個別指導タイプ

個別指導塾や家庭教師などと同じように、教育に力を入れているタイプです。
交流はあまり求めていない、一人でじっくり学びたいという人におすすめです。

学習塾などもありますが、その際には「不登校の子どもに対応しているか」「学校に行っていないことについて配慮してもらえるか」といった部分をしっかり確認しましょう。

4. 非日常体験タイプ

クライミングやキャンプといったレジャーや、農業体験などの取り組みをおこなうスクールもあります。

学習面のサポートももちろんおこないますが、「自分らしさを大切にする」「チームでの協調力を磨く」といったことに重きを置いているスクールが多いようです。

学校に通わないことによる「学生時代の思い出の不足」が起こりにくく、相性が良ければ、子どもにとって楽しく通える場所となるでしょう。
過ごしているうちに、自然と集団活動への苦手意識が軽減される場合もあります。

5. 専門家サポートタイプ

臨床心理士やスクールカウンセラーなどの専門家による支援体制が整っているタイプです。
医療機関などと提携することにより、心身の病気や疾患、障害を持つ子どもに対して、安心できる居場所を提供します。

個別相談を受け付けているところも多いようなので、まずは一度利用してみてはいかがでしょうか。

6. 自宅訪問タイプ

外出が難しい方、スクールまで通うのが困難な方に対して、ご自宅に訪問して学習支援・相談対応などをおこなうところもあります。

勉強だけでなく、一緒に何かをする時間を作ったり、好きなテーマでお話ししたり、比較的自由に過ごし方を選ぶことができます。
まずは子どもの好きなことから始めて、じょじょに世界との接点・間口を広げていくことも可能です。

7. 共同生活タイプ

フリースクールの中には、寮などを完備していて、共同生活をおくれるところもあります。
生活を共にすことで、信頼関係を築き、協調性や自主性、コミュニケーション力を磨きます。

規則正しい生活を重んじるところもあれば、子どもの意志を尊重して自由に過ごせるところもあるので、まずは見学して雰囲気を確かめてみましょう。

8. 専門スキル取得タイプ

協調性やコミュニケーション力を養いながら、社会で生き抜く力、活躍する力も付けていきましょう、というのがこのタイプ。
資格取得が目指せるなど、特定の知識・専門スキルを手に入れるためのサービスが充実しているため、学校に行かないことにより焦りを感じている子も比較的通いやすいかと思います。

また、プログラミングやゲーム開発、芸能活動など、興味のある分野がはっきりしている場合も、専門スキル取得タイプのフリースクールがおすすめです。

出席認定・卒業資格・単位の扱い

出席認定はされるのか

フリースクールへの通学が学校の出席として認められるかについて、文部科学省は以下のように述べています。

フリースクールなど、学校外の施設において相談・指導を受けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として適切に評価し、学校復帰などの社会的自立を支援するため、小・中・高等学校の不登校児童生徒が学校外の機関で指導等を受ける場合について、一定要件を満たすとき校長は指導要録上「出席扱い」にできる

文部科学省「資料4(その2) 不登校の児童生徒への支援について」より引用

特に高校生の不登校は中途退学になるケースが多く、平成21年度より出席認定が促進されるようになりました。
各学校の学校長の判断によるため「必ず出席になる」わけではありませんが、フリースクールを検討する際は、ぜひ学校へ確認してみてください。
尚、出席が認められる場合には、フリースクールに通うための定期券を買う際に、通学定期として購入できるようになります。

文部科学省によれば、フリースクールに通う子どものうち、5割強の子どもは在籍校に手出席扱いとなっているようです。

卒業資格について

フリースクールは公的な学校ではなくあくまで民間の教育機関であるため、卒業資格を与えることはできません。

そのため、義務教育機関である小中学生の場合は、もとの学校に在籍したまま、フリースクールに通うことになります。
公立の小中学校の場合は、出席日数などは関係なく卒業は可能であるため、在籍している小中学校の卒業資格が与えられます。

私立中学校では、高校と同じように退学制度があるため、中途退学となる可能性があります。
通わなくなった時点で公立中学校に転校手続きをして卒業する人が多いのですが、中学校卒業程度認定試験(中卒認定試験)を受験し合格すれば、中学校を卒業できなくても、高校進学か可能です。

高校生の場合は、フリースクールと並行して、定時制高校や通信制高校に通って卒業することもあります。
高校卒業程度認定試験(高認)を取得することが、高校卒業と同等と認められています。
ただし、高認を取得しても最終学歴は変わらない(中卒のままな)ので、その点のみ注意しましょう。

単位認定されるのか

多くの私立小中学校・高校では、卒業するために「単位」が必要です。
フリースクールは学校ではないため単位を直接認定することはできませんが、いくつかの学校では、フリースクールで特定の授業やカリキュラムを受けることで単位を取得できます。

他にも、例えば神奈川県では、県教育委員会が「県立高校不登校生徒等単位認定プログラム」という事業に取り組んでいます。
これは、フリースクールなどを運営するNPO団体が協働で、特定のボランティア活動や就業体験のプログラムを受講すれば高校の単位を取得できる、というものです。

また、全日制・定時制高校に在籍する不登校生に対しては、通信教育を受けることで単位認定される取り組みもあります。

高等学校の全日制・定時制課程において、不登校生徒を対象として、通信の方法を用いた教育により、36単位を上限として単位認定を行うことを可能としている。

文部科学省「資料4(その2) 不登校の児童生徒への支援について」より引用

このほかにも、不登校の生徒が自宅でIT等を活用した学習活動をおこなう際に、その学習を指導要録上出席扱いとし、その成果を成績に反映することができるところもあるそうです。

学校によって実施の可否は異なりますが、不登校になってすぐ中途退学や休学・転校・編入を考えるのではなく、まずは学校の先生に相談してみてくださいね。

卒業後の進路と学歴の扱い

フリースクールが公的な学校と認められていない以上、卒業証書や各書類は、在籍している学校が発行します。
学歴などを記入する際にも、在籍していた小中学校、高校の名称を記入します。

フリースクール卒業後の進路はさまざま。
不登校新聞のアンケート調査によれば、フリースクールに通っていた子どものうち、およそ67%が進学・就労しているそうです。

1. 全日制の中学・高校・大学・短期大学・専門学校等に進学

元々在籍していた学校に復帰・復学したり、転校・編入したりとかたちは様々ですが、おそらくこれが一番多いケースではないかと思います。

周りと違うことをするのが苦手な人や、周囲からの目を気にする性格の人の場合は、「外れたレールから戻った」感覚も得られて、自信を取り戻しやすいのかもしれません。

2. 通信制・定時制の学校に進学

全日制の学校に通う自信はないが学校は卒業したいという場合には通信制・定時制の学校に進学する方法もあります。
現在は、通信制高校から難関大学に進学するケースなども増えていて、全日制の学校と比べて授業の質が低い・学校が荒れているといったことはありません。
むしろ、自由な校風は不登校生に合う確率も高く、成功体験を積み重ねやすいのではないでしょうか。

3. 就職、職業訓練学校など

そのまま就職したり、職業訓練校などに通ったりする人もいます。
学校の「みんな同じ」文化には馴染めなくても、社会に出ることで自分らしさを発揮できるようになる人は多くいるものです。

達成感も得やすく、自立心を強く持っている人にとっては良い道と言えるでしょう。

4. ホームスクーリング、留学など

ホームスクーリングや留学など、学校復帰以外の学びの道もあります。
不登校期間を活かして、外国語の学習などに力を入れた場合は、留学などによって才能が開花することも考えられます。

ご家庭の協力が必要不可欠なことがほとんどですが、働きながら学ぶなどして費用を抑えられるスタイルのものもありますので、興味のある方は調べてみてください。

不登校は不幸じゃない。「ホームスクーリング」という考え方

皆さんは、「ホームスクーリング」という言葉をご存知ですか? ホームスクーリングは、「ホームスクール」「ホームエデュケーション」等とも......

5. フリーター

やりたいことに向けて貯金したり、自分がどう生きるのかを考えたりする過程で、アルバイトなどで社会参加するパターンもあります。
今は平均時給も上がっていますので、一人で生計を立てることも可能です。

一度フリーターとして働いた後に、復学や就職を選ぶ人もいます。

不登校は高校・大学受験に不利になる?

「欠席日数が多くなると、内申点が悪くなって受験に不利になる」とよく言いますよね。

文部科学省は、都道府県教育委員会等に対して、高校入試をおこなう際は不登校生徒には適切に配慮するよう促しています。
しかし、欠席日数が多い場合は「審議の対象とする」として、入試時に不利になることが募集要項などに記載されている公立高校は少なくありません。
また、大学受験時にも、指定校推薦の条件に欠席日数の上限が設定されていることもあります。

一方で、私立高校の一般入試では、欠席日数や成績などよりも試験の結果が重視される傾向にあるといわれています。
大学受験についても、受験方式によっては欠席日数や内申点はあまり重視されません。

不登校の生徒を積極的に受け入れている学校もありますから、在籍校の先生と協力しながら、お子さんにとって最適な進路を探してみてください。

通うのにかかる費用

フリースクールに通う際の費用は、大きく分けて「月ごとにかかる費用(授業料)」と「入学時にかかる費用(入学金)」の2種類があります。
金額は団体・地域によって異なりますが、文部科学省の調査による平均価格は以下の通りです。

授業料:約33,000円/月
入学金:約53,000円

この他、およそ4割のフリースクールで、課外活動費やNPO会員費、相談料、教材費、施設維持費など、授業料以外の費用がかかります。
毎月支払いが続くものですから、資料請求・見学などの段階から、しっかり確認しておきましょう。

会費の減免制度を導入しているフリースクールもあるので、費用面が心配な方は一度問い合わせてみると良いかもしれません。

サポート校・通信制高校・教育支援センターなどとの違い

フリースクールと似た役割を持つ施設として「フリースペース」「サポート校」「オルタナティブスクール」「チャレンジスクール」「エンカレッジスクール」「クリエイティブスクール」「通信制学校」「教育支援センター(適応指導教室)」「特別支援学級(学校)」などがあります。
これらにはどのような違いがあるのかを解説します。

フリースペースとは

フリースペースは一般的に、特定の目的を持たない自由な空間のことを指します。
最近は不登校生・10代向けのフリースペースも増えてきていて、子どもたちの民間の受け皿として活動しています。

役割はフリースクールとほぼ同じですが、過ごし方は子どもたちに任せているところが多く、より自由に過ごせる空間と言えるでしょう。

定期的に通うタイプと、1日ごとに利用費がかかるタイプとがあります。
お子さんの性格やライフスタイルに合わせて、通学スタイルを考えましょう。

サポート校とは

サポート校は、学校に行けない子どもの居場所であるという点においては、フリースクールと同様です。
また、サポート校も民間の施設であるため、卒業資格を得るには公的認可を受けている学校に在籍する必要があります。

フリースクールと違うのは、それぞれの施設が見据えている「ゴール」です。
サポート校の多くは通信制高校などと提携しており、「生徒が3年後に卒業できるよう支援する」のが、サポート校の役割です。

そのため、学習面での支援が充実しており、予備校や学習塾が運営している施設も多いようです。

オルタナティブスクールとは

オルタナティブスクールとは、ヨーロッパやアメリカの哲学的思想をもとに発展した「オルタナティブ教育」を取り入れた学校のことです。
大人が教師としてではなく子どもをサポートする存在として接し、子どもが自ら学び、自ら行事に参加できるようなカリキュラムが組まることが多いようです。

どちらも無認可であることは共通していますが、フリースクールが「学校に馴染まなかった子どもの居場所」という意味合いが強いのに対して、オルタナティブスクールは「これまでとは異なる運営制度・進級制度・教科科目」に重点を置いているため、通う子ども全員が不登校生・引きこもりというわけではありません。

チャレンジスクールとは

チャレンジスクールは、東京都立高校の取り組みの1つとして設置された定時制高校です。

入学試験は小論文(作文)、面接、志願申告書となり、学科試験はありません。
生徒のやる気を重視する傾向にあり、ボランティア活動によって単位が認められるなど、カリキュラムも自由度が高く、これまでの学校に馴染めなかった子どもも比較的通いやすいと言えます。

エンカレッジスクールとは

エンカレッジスクールも、チャレンジスクールと同様に東京都立高校の取り組みの1つです。

全日制・学年制の高等学校なので普通の高校と同一視されがちですが、指導目的はあくまで「社会生活を送るうえで必要な基礎的・基本的学力を身につけること」としています。

定期テストはなく、生徒の学習に対するやる気・態度を評価の対象としていて、習熟度別・少人数制の授業をおこなっています。

クリエイティブスクールとは

クリエイティブスクールは、神奈川県の教育改革の一環で設置された高等学校です。
中学生の時に、いじめや不登校、経済的困窮、家庭内不和など、さまざまな事情で十分に力を発揮できなかった生徒を積極的に受け入れ、中学校からの学びやさまざまな体験活動などを通して、主体的に行動できる「社会実践力」を育むことを目的としています。

通信制高校とは

通信制高校は、学校教育法によって、高等学校と定められています。
レポートやテストなどで単位を取得すれば、高校卒業資格が与えられます。

ただし、通信制高校は基本的に自分で学ぶ姿勢が必要となるため、3年間で卒業できるのは約30%程度だとも言われています。
そのため、サポート校・フリースクールなどを併用して、支援を受けながら卒業を目指す人も多くいます。

教育支援センター(適応指導教室)とは

教育支援センターは、教育委員会が運営している施設です。
以前は適応指導教室という呼び方が一般的でしたが、不登校に対する考え方の違いなどから最近では「教育支援センター」と呼ばれる施設が増えてきました。

登校拒否の児童・生徒への指導を目的として、学校の教室などを利用して設置します。

在籍校と連携しながら、教科指導や相談の受付などだけでなく、時にはカウンセリングや集団での指導もおこないます。

一定の要件を満たせば、適応指導教室で指導を受けた日数分、出席扱いにすることができます。

特別支援学級(学校)

特別支援学級は、不登校かどうかは関係なく、発達障害など、障害を持っていて、通常のクラスでは学習が難しい子どもが通うところです。
特別支援学級に行ける場合は、クラス編成が変わるだけで在籍する学校は変わらないので、出席認定されます。

自閉症やアスペルガー症候群、学習障害(LD)、広汎性発達障害(ADHD)などの発達障害のほか、視覚・聴覚・知的障害や肢体不自由者などが通える特別支援学校もあります。

フリースクールの選び方

フリースクールとは何か、だんだんと分かってきたでしょうか。
次に、フリースクールを選ぶ時のポイントを3つ、ご紹介します。

1. 通学距離・通学時間で選ぶ

基本的にフリースクールは週1~5日、定期的に通うことになります。
通学距離が極端に長かったり、2時間以上かかったりしては、いくら良い環境であっても、通うだけで疲弊してしまいます。
また、時間や距離以外にも、利用する交通機関の混み具合や交通費、通学経路の街並みなども重要なポイントです。

特に不登校になると体力・精神力が低下します。
少しでも本人の通うハードルを下げるために、なるべく近い、通いやすいフリースクールを選ぶと良いでしょう。

2. 活動内容で選ぶ

フリースクールによって一日のタイムスケジュールや活動内容は多岐に渡ります。
イベントが定期的に開催されたり、プログラミングなど専門的な知識を学べたり、田んぼや畑などで農業体験ができたり……。

催し物があると刺激的で賑やかな生活にはなりますが、人によってはエネルギーを使いすぎてしんどくなってしまう可能性も。

多くのフリースクールが「一日の過ごし方」や「カリキュラム」といったものを公開していますので、ぜひどんな活動をしているのかもチェックしてみてください。

3. 居心地の良さで選ぶ

何よりも大切なのが、「本人がリラックスして過ごせるか」という点です。

中には「居心地が良すぎると復学や社会復帰が遠くなってしまうのでは?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、不登校になった子にとって何より大切なのは、絶対的な安心感です。

ここに居ていいんだ。できないことがあってもいいんだ。自分には価値があるんだ。
そう思える環境で過ごすことが、子どもの心を癒し、次のステップへ進む足掛かりとなってくれます。

4. サポートの手厚さで選ぶ

「いざ通い始めたら、空間に馴染めず行けなくなってしまった……」
「子どものことについて、誰かに相談したい……」

フリースクールを決めるまではもちろんですが、その後にもさまざまな不安・悩みがあると思います。
そういった時に、個別に相談に乗ったり、フォロー体制を整えたりできるのも、フリースクールの魅力の一つ。

親も相談できるか、子どもが通えなかった時のサポートはあるのか、家に来てもらうことは可能かなどなど。
子どものライフスタイルや性格、親御さんの希望に合わせて、どんな支援が必要か、それは達成可能かを確認しましょう。

特にHSPなどの気質を持っている子や、集団生活に馴染めなかったことがある子どもの場合は、個別対応がどこまで可能かはチェックしておきたいですね。

5. サイトの良さで選ぶ

今はほとんどのフリースクールがWebサイトを運営していますから、実際に見学に行ってみる前の判断材料として見てみると良いでしょう。

更新がまめにされているか、問い合わせに対して迅速に対応してくれるか、必要な情報がきちんと公開されているか。
「資料請求しなくても基本的な疑問はサイト上で解決できる」ということが、1つの理想のかたちと言えるでしょう。

フリースクールの探し方。通うまでの3step

通いたいと思うフリースクールのイメージができてきたら、実際に探してみましょう。
……とはいえ、関東だけでも約50団体あるとなると、調べるだけでも疲れてしまいそうですよね。

今回は、フリースクールを検討してから通うまでを3つのステップにまとめました。

step1.気になるフリースクールのリストアップをする

まずは、インターネットで「地域名+フリースクール」「学年+フリースクール」などで検索してみてください。
そうして出てきたフリースクールのうち、気になるものをリストアップしていきましょう。

この時、対象年齢のチェックを忘れないようにしてください。
ほとんどのフリースクールが「小学生対象」「発達障害専門」など、年齢・学年などで対象者を限定しています。
せっかく見学までしてから「対象外でした」となってはそれまでの苦労が水の泡。
だいたいはサイトの分かりやすい位置に載っているはずなので、そこを確認してから詳細を見てみてくださいね。

参考リンク:全国フリースクール一覧

step2.資料請求をしてそれぞれの詳細を調べる

気になるフリースクールが見つかったら、資料請求をしてみましょう。
ほとんどのフリースクールが、活動内容や雰囲気が分かるような資料を用意しています。
実際に足を運ぶよりも格段にハードルが低くなりますよね。

特に見ておきたいのは、
・スタッフはどんな人がいるのか
・施設の内観の雰囲気はどうか
・一日をどんな流れで過ごすのか
・勉強はどう指導しているのか

といったところでしょうか。

資料請求をしたからといって、通わなければいけないとか、見学に行かないといけないといったことはありませんので、気軽に資料請求してみましょう。

また入学資格が設けられていない(誰でも入学できる)のが一般的ですが、中には、入学時に選考があったり、面談が必要だったりするところもあります。
入学を希望してから分かると準備も大変でしょうから、事前にチェックしておけると良いですね。

step3.実際に見学に行ってみる

サイトや資料を見てみて「通いたい」「詳しく見てみたい」と思ったら、実際に見学をしてみましょう。
無料見学や無料相談を実施しているところがほとんどですが、事前予約が必須な場合が多いのでその点だけ注意してください。

尚、フリースクールによっては、保護者のみはもちろん、子どものみでの見学も受け付けています。
「いきなり子どもに紹介するのではなく、自分で見てみたい……」
「良さそうだと思ったら家族に相談したい……」
と思ったら、まずは一人での見学が大丈夫かどうか問い合わせてみましょう。

この時も、「見学に行ったら通わないといけないのかな」などと気にする必要はありません。
むしろ、複数のフリースクールを見てみたほうが、本人に合う環境なども見つけやすくなります。

実際に足を運んでみて、「通いたい」と感じたら、スタッフや運営者に訊いて入学手続きをしていきます。

通いたいフリースクールが見つかったら

通いたいフリースクールが見つかったら、忘れずにしておきたいことがあります。

1. 親子で意思を疎通させる

素晴らしい教育方針だからと親が思っても、子どもからすれば厳しい環境が息苦しいかもしれません。
子どもがリラックスできる場所だと思っても、親から見ると放任主義すぎて少々不安になるかもしれません。

子どもにとって通いたいと思う場所であること。
親にとって安心して通わせられる場所であること。

その2つが合わさって、初めてそこに安心して通学することができるようになります。

フリースクールは、何ヶ月、何年と過ごす可能性もある場所です。
少しでも懸念点があるのなら、「親はこう言っているし……」などと気にする前に、必ず確認するようにしましょう。

2. 所属している学校に伝える

学校によっては、フリースクールに通うことを出席日数としてカウントしています。
認められない場合もありますが、フリースクールが決まったら、担任の先生などを通じて所属する学校・学校長に伝えるようにしましょう。

3.入学を希望するフリースクールと話し合う

フリースクールの多くは、入学が決まった後に一度面談を行います。
「どのぐらいのペースで通い始めるのか」「必要なサポートはあるか」「料金はいつ、どのように支払うのか」など、疑問に思うものはすべて解消しましょう。

ただ、見学・体験から通い始めるまでの期間が長くなると、「やっぱり不安……」と足踏みしてしまう可能性もあります。
入念な打ち合わせは重要ですし、心配な気持ちも分かります。
もちろん無理に通い始める必要はありませんが、「まずは一回行ってみようか」と踏み込んでみても良いのではないでしょうか。

まとめ

今回は、フリースクールとは何か、費用や探し方についてご紹介しました。
不登校の子供の選択肢は、ひとつではありません。

こちらの記事が、あなたや、あなたのお子さんが今後を考える時の一助となれば幸いです。

参考;
小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省
県立高校不登校生徒等単位認定プログラム作成事業について|神奈川県
フリースクール卒業後 67%が進学・就労|不登校新聞
オルタナティブスクールとは?教育法や魅力と注意点|All About
【用語解説】都立高校 チャレンジスクール・エンカレッジスクール|NPO法人 高卒支援会
クリエイティブスクール|神奈川県立田奈高等学校
資料4(その2) 不登校の児童生徒への支援について|文部科学省
不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~報告|文部科学省
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