「過干渉な親に育てられると、将来子どもが苦労する」などとよく言いますが、そもそも“過干渉”“過保護”って、具体的にどういうことなのでしょう?
親としては我が子を思っての行動だったとしても、気付かぬうちにその愛情がお子さんにとっては負担となっているのかもしれません。
せっかく愛しているのだから、きちんとお子さんに伝わる形にしたいですよね。
そのため今回は、「そもそも過干渉って何?」というところから、親子の向き合い方について考えてみます。
- 目次
そもそも過干渉って何?どうしてよくないの?
過干渉とは、ある対象に必要以上に干渉してしまうことを指します。
この場合だと、子どもに必要以上に干渉してしまう親のことを「過干渉」というのですね。
家庭は閉鎖的なコミュニティであるため、本人も自覚がないままになってしまうケースも少なくありません。
特に母親が多いと言われていますが、おそらく「幼児に対する接し方」を、子どもが大きくなってからも続けてしまうことが要因でしょう。
過干渉だと、子どもが将来自己受容できなくなったり、自分で物事を考えられなくなったりして、自立して生きていくことが難しくなってしまいます。
早い段階から気づき、少しずつ子どもとの接し方を変えていくことが、なによりも大切なのです。
過干渉になってない?“毒親”にならないためのチェックリスト
過干渉を含めて、子どもに悪い影響を与えてしまう親のことを「毒親」と言います。
まずはこの毒親になってしまわないために、ご自身が(あるいは自分の家庭が)過干渉になってしまっていないか、チェックしてみてください。
□子どもの交友関係や予定を事細かく把握している
過干渉な親は子どもを常に自分の目の届くところに置いておきたいと思っているため、子どもの交友関係や予定をチェックすることが多いのです。
深刻な場合、子どもの交友関係に口を出したり、予定を勝手に決めたりして子どもをコントロールしようとしてしまうことも。
もちろんお子さんが幼い時は、危険を回避するために「学校から帰ってくる時間の目安」や「今日遊んでいる相手」を知っている必要があります。
しかし、お子さんが中学生や高校生になってもそれらを細かく知ろうとしてしまうのは、単なるプライバシーの侵害。
お子さん側が自分から話してくるのであれば問題ありませんし、「今日は何してたの?」なんて会話は親子間のコミュニケーションとして大切です。
しかし、もし子どもが何をしているのか気になって何度も電話や連絡をしたり、「あの人と付き合うのはちょっとよしておいたほうが良いんじゃない?」と言ったりしているのであれば、子どものプライバシーを尊重して控えるようにしましょう。
- ◆CHECK!
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- 子どもがどんな人と普段接しているのかは欠かさず知っておきたい
- 子どもに連絡して今何をしているのか聞くことがよくある
- 子どもにはより良い人とのつながりを持ってほしいと思っている
子どもとはいえ一人の人間! どんな人たちと付き合うのか、どんなことをして生きていくのかはお子さん自身が決めること。例えそれが厳しい選択だったとしても、まずはじっと堪えて見守ってあげましょう。
□なんでも先回りしてやってしまう
よく、“毒親=子どもに愛情がない”と言われるのですが、過干渉はむしろその逆。
愛情深いがゆえに、子どもに対して過度に干渉してしまうのです。
親としては、我が子が失敗する姿や傷つく姿はできれば見たくありませんよね。
「代われることなら代わってやりたい」そう願うも見守ることしかできないのは、それこそ言葉の通り、身を裂かれるような想いだと思います。
しかし、例え子どもにとって望まぬ出来事であったとしても、将来自立して進んでいくためには必要なステップだってあるのです。
その際に親が先回りしてやってあげてしまうと、子どもの成長のチャンスだけでなく、「自分で考える力」「自分で決めたことを行動する力」を奪ってしまうことになりかねません。
- ◆CHECK!
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- 子どもにとって必要なものを、言われる前に与えてしまう
- 子どもの進路など、本人が決めるべきものを勝手に決めてしまう
- 子どもがミスしていると本人が気づく前に指摘してしまう
傷つくことで人は成長していきます。お子さんにとってどちらが本当の幸せなのか、今一度よく考えてみてください。お子さんが一生を終えるまであなたが面倒を見ることは、ほとんどの場合できないのですよ。
□子どもの考えと自分の考えが違うことが許せない
過干渉な親の頭には、「子どもは自分の意に沿った行動を取るべきだ」という考えがあります。
そのため、子どもが自分と違う意見を言ったり、子どもが自分の思った行動とは違うことをやろうとしたりするのが受け入れられないのです。
これは、特に母親に多いのですが、「子どもと自分の境界線が曖昧」だと起こりやすくなります。
母親にとって子どもは、「他者」ではなく「自分から生まれたもの」「自分の分身」などといった存在になるのだとか。
通常であればそれが少しずつ他者となっていくわけですが、それがうまくいかないと、いつまでも自分に近い存在として考えるようになってしまいます。
子どもと自分は、別の人間であること。
まずはそれを自覚しなければ、過干渉からは逃れられません。
- ◆CHECK!
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- 子どもが次にとる行動はだいたい想像できる
- 子どもと自分は他ではありえないくらい似ていると思う
- 子どもの言うことなんてどうせ間違っている、と思っている
子どもと親は別々の人間なのだから、考えが違うのは当たり前。その「当たり前」を理解することが、過干渉を脱出するための第一歩となります。
もしかして私って過干渉?過干渉にならないための対処法
ここまでに書いてある「過干渉な親の特徴や行動」と自分が当てはまっていたからといて、過度に気にする必要はありません。
過干渉は、いつからでも、本人に「変わりたい」という気持ちさえあればいつでも変えられるからです。
まずは、お子さんとじっくり話してみてください。
「もしかして私って過干渉だった?」「子どもに窮屈な思いをさせてしまっていたかもしれない……」と感じたら、自分ひとりで悩むのではなく、思い切ってお子さんと話してみてください。
お子さんのことを愛していること。
その愛情ゆえに行き過ぎた行動をとってしまったかもしれないこと。
なによりも子どもの幸せを願っていること。
そしてもしお子さんから「こういうところが嫌だった」「こういうのはやめてほしい」と言われたら、それがその時には納得のいかないものだったとしても、一度受け止めてあげてください。
時には、パートナーやほかの家族、ママ友パパ友などに相談してみるのもいいと思います。
大丈夫。あなたがお子さんを愛しているのは、周りの人もちゃんと分かっていますよ。
なによりも、子どもの意見を尊重することです。
お子さんと話していると、もしかしたら中には間違っている主張や失敗する考えもあるかもしれません。
子どもよりずっと長い人生を歩んできたあなたにとって、きっとそれは歯がゆいものでしょう。
しかし、どんな内容であっても、それはお子さんが自分なりに必死に考えて出した結論。
まずは、尊重してあげませんか?
遅かれ早かれ、人はいつか自分で考え決断し、自分で行動しなくてはいけなくなります。
失敗してもあなたが守ってあげられるのは、今だけなんです。
転ばない方法は、もちろん大事。転ばないに越したことはありません。
しかし人生は、自分では大丈夫だと思っていても、周りが転ばせるようなことだって山ほどあるはず。
そんな時、起き上がり方を知っていないと、長い時間苦しむことになってしまいます。
転んだ後、どう起き上がればいいのか。
それは、転んでみないと分からないものなんですよ。
自分の時間を、もっと大切にしましょう。
過干渉な親の多くは、自分が過去諦めてしまったものや、目指していた生き方を知らず知らずのうちに子どもに押し付けてしまっています。
自分は低学歴で苦労したから、子どもにはいい学校を出てほしい。
自分は結婚が遅くて苦労したから、子どもには良い家庭を早いうちに築いてほしい。
そう願うことは悪いことではありませんが、あなたの人生だったまだまだ続いていくのです。
きっと、お子さんが産まれてすぐは、自分の時間なんて取れなかったでしょう。
育児、仕事、家事、周りの人との付き合いやその他諸々……。
ひとつの命を守ることに必死で、時には大切な人を傷つけることもありながら、それでも強く生きてきたのでしょう。
もうそろそろ、ご自身の人生を歩んでもいいのではありませんか。
例え子どもが産まれたことを機に職を辞したとしても、家庭に引きこもる必要はありません。
「もうおじさん、おばさんだから……」と、年齢を気にして夢を諦める必要はありません。
まだまだ人生は長いのだから、今から新しい趣味を始めてみたっていいのです。
好きな友達と食事に行ってもいいのです。
少しくらい帰りが遅くなったって、お子さんはもう自分でご飯を用意して、自分で支度をして、自分で眠りにつきます。
もう、ひとりで頑張ろうとしなくても大丈夫です。
子どもはいつか親の元を離れていく。それでもわたしは、家族を愛しています。
わたしは今21歳で、年内に実家を出て一人暮らしをしようと考えています。
これまで、「親にとっての正解はどれだろう?」「どうしたら親は機嫌がいいだろう?」などと考え、両親や先生、周りの大人の顔色をうかがってばかりいました。
一人暮らしをすると決意してから、大学を中退し、自分でできる仕事を探し始めました。
まだ自分のできることを模索しながらなので、失敗することもあるし、後悔することもあります。
でもわたしは今、人生で初めて「自分で自分の人生を歩んでいる」と感じられているのです。
ここまで生きてこれたのは、今こうして活動できているのは、両親の力があってこそです。育ててくれたことには、本当に感謝しています。
しかし、わたしは「両親の娘」である前に、一人の人間。
わたしの人生はわたしのものだから、いつまでも両親の思い描く理想の娘ではいられません。
子どもはいつか、親の元を離れていきます。
子どもが自立できて嬉しいという気持ち。離れていってしまうのが寂しいという気持ち。どうか幸せであってほしいという気持ち。
愛情をかけた分だけ、さまざまな感情が絡み合い、きっと複雑な心境となるでしょう。
もしかしたらこれからはだんだんと会う機会が少なくなるかもしれません。
あなたの知らない友達が増え、あなたの知らない地で生きていくかもしれません。
しかし、これだけは忘れないでください。
例え離れたとしても、わたしたちは、家族を愛しているのです。
あなたが子を愛する気持ちと同じように、子はあなたを愛し続けています。
お互い自分の人生を歩んでいけば、きっとまたいつかどこかで、交差する日が来るのではないでしょうか。
- ママたちの声を集めて届けるSNSはじめました。