選択肢を与えてあげるだけで、子どもは変わる。  【不登校生の保護者インタビュー 第7弾】

不登校の子を持つ保護者の方に、我が子との向き合い方を伺う「不登校生の保護者インタビュー第7弾」。今回は、お子さんとの日常や、ご自身のことを綴った「莉音のブログ」を運営している「莉音さん」にお話を伺いました。

ある日を境に行きしぶりが始まった

――本日はよろしくお願いします。 まずは自己紹介をお願いします。

ブログでは莉音(りおん)という名前でやっています。
家族は、私、主人、小学2年生の娘です。

――では娘さんの不登校について教えてください。
学校に行きたくなくなったのはいつからでしょうか?

幼稚園の年長の、6月のある日を境に「行きたくない」って言い始めました。

初めのころは何回か娘を引っ張って行きましたけど、私自身も「頑張って行ったところで、なんか違うなぁ」って思っていました。

しばらく休ませて、その後は早退しながらもなんとか行っていました。

――ある日突然行かなくなったのは、何か原因があったのでしょうか?

年中までは同じ先生だったんですが、年長に上がる時に先生が変わったんです。

その先生が、「何でも自分でできて、困った時に自分から言えるようになろう」っていう考えで、娘と合わないだろうなと感じてはいたんです。

行きたくなくなったのは、工作をやる時に、娘が周りの様子を見ている時に、先生から「やらなきゃダメでしょ。わからなかったら、自分からすぐに言わなきゃダメでしょ」って言われたみたいなんです。

その言い方から、全否定されているみたいに感じたみたいなんです。
娘のお友達が「かな(仮名)ちゃんだけ、怒られて泣いちゃって」って教えてくれました。

その日は帰ってからもふさぎ込んでいて「私はだめ。みんなよりできないし」って言っていました。

次の日の朝、幼稚園に行く準備をしたんですけど、「行きたくない」って言いだして、その日から行きしぶりが始まりました。

――それから、幼稚園をお休みしたのはどれくらいだったんでしょうか?

行きたくないって言った日から、3日ぐらいは、無理やり連れて行くような感じでした。

でも、娘は体がだるいとか言ったりして、「無理矢理行かせたりしても、だめかなあ。」とモヤモヤしていた時に、私自身が胃腸炎になっちゃったので、とりあえず一週間休みますって言う風にしたんです。

――卒園までは、どのようにすごしていたのでしょうか?

午前中だけ行くとか、早退、遅刻をちらほらしていました。

園長先生が来て話をしてくれたりして、娘も、「先生が言ってくれているから、行かなきゃね」みたいな感じで行ったりしていました。

ただ、担任の先生も娘が来ても、入りやすい空気づくりをしてくれない先生だったので、混ざれないことも多くて、意味ないなと感じていました。

そんな感じでちゃんと通っていなかったのに、娘はお遊戯会の時にはセリフも言えたし、先生に頼まれたことはちゃんと出来ていて、すごいなあって思うんです。

でも、娘は自分よりもっとと出来る子もいるし、幼稚園に毎日通うってことができていないので、「私はできない」と思っちゃったんです。

だから年長の1年は娘にとって、「みんなよりこういうところがダメだ」っていうのを感じるだけの一年になってしまったようでした。

HSPという言葉に出会い、学校との関係を見つめなおす

――小学校にあがることに不安はありませんでしたか?

不登校などのことを色々調べていたら、私も娘もHSPだと言うことを知ったんです。

HSPというのはハイリー・センシティブ・パーソンと言って、感受性が強すぎていろいろなことに対して過敏になってしまう人のことです。

HSPのチェックリストを見て「これだ!」ってすごく腑に落ちて、自分の今までの人生がすごくなんか納得行ったんですよね。

娘もHSPだとわかったので、小学校へは「行ってみてダメだったら、もう行かなくていいかな」みたいなことを考えていました。

――実際に入学してからはどうでしたか?

娘には「小学校は行ってみて駄目だったら、ママと勉強するでもいいし、家にいるでもいい」って伝えると、すごく元気になりました。

選択肢を伝えるだけでこんなに変わるんだってことを知りました。

入学して、同じ幼稚園の仲いい子が隣の席だったんですが、それでも次の日から「行きたくない」ってなっていました。

最初の頃は、先生も「不登校児出さないぞ!」というような圧もあって、毎朝マンションの下に迎えに来ていたんです。

私も悪いなと思っていたし、子供も気を遣って、行かなきゃみたいな感じで準備するんだけど、下降りると「行きたくない」って言うんです。

なんとか先生に連れて行ってもらったけど、帰ってきても表情暗いから、駄目だなーと思いました。

1年生の1学期で、授業を受けたのは5月いっぱいくらいまででした。
好きな図工の授業だけとか、1時間目だけ出て、帰るようにしたんです。

それでも、先生から「朝からきつそうな顔をしていて、結局別室に入っている」って話を聞いて、私は「それなら学校行く意味ない」と思ったので、先生に「もう行かないです。行けそうだったら連絡します」って伝えました。

先生に「保健室登校もできる」と言われたので、保健室の先生と連絡を取って、ちょこちょこ行って、ちらっと帰りの会にも出るようにしていました。

だけど、この形には私自身も何か違うなと感じていましたし、娘も「意味あるのかな」と言ったんです。

それからほとんど行っていません。勉強はほぼ家でやるのみです。

――学校の先生との関係はどうでしたか?

毎日の欠席連絡とか保健室登校の連絡も、私がきつかったので、「連絡頻度を減らしたいです」って言っても、原則があるので欠席連絡のやり取りはしてもらわないと、と言われましたね。

校長先生からも前例がないので、と言われてダメでした。

私が面談の時に、HSPと、教育機会確保法の資料を持って行って、休みの連絡は週1でも問題ないことや、家にとってやりやすい方法を受け入れてもらえることが、ベストな支援なんですよ、ということをプレゼンしたんです。

それで、1年生の終わりぐらいで、欠席の連絡は週1回でいいことになって、学校側も来週の授業内容をお手紙で知らせてくれるような体制をとってくれました。

――今、お子さんの不登校について、どう思っていますか?

入学式翌日に、6歳の娘が「なんで学校ってこんなに自分だしちゃいけない場所なんだろう」って言ったんです。

そんなことを感じさせちゃう場所ってすごく悲しいなぁと思って、そんなことを感じさせちゃいけないなって思いました。

学校とかとのやり取りがめんどくさいっていう部分では大変だなーってのはありますけど、私自身も色々知れたし、視野が広がってありがたいなぁて思っています。

小さいうちから、「行きたくない」って不登校できるって強いなーって思うし、ある意味、より世界が広がっているなって思えていて嬉しいなって。

私も色々と知るチャンスをくれたからありがとうと思います。

「不登校は強い子」我が子の不登校に悩む保護者の方へメッセージ

――最後に不登校の子供を持つお母様に何かメッセージをもらえますか?

先生や親に決められたように学校行くって、すごく楽な生き方だし、それができたらいいなとは思うんです。

でも、「行きたくない」って言えた子は、未来が明るくて強い子だなとも思います。

学校行きたくないとか、不登校の子って、本当に強くて、自分を持っている子だと思います。

それに対しても、お母さんお父さんもすごく自信持って欲しいなって思います。

認めて欲しいなっていうか、そう言えた自分のお子さんにも自信持って欲しいし、お母さん、お父さんも、まずは自分自身を認めて欲しいなって思います。

――あたたかいメッセージありがとうございます。
  本日は貴重なお話しを聴かせていただき、ありがとございました。

莉音
お子さんとの日常や、ご自身のことを綴ったブログ「莉音のブログ」を運営。
HSPに関係する人に向けて、お茶会も主催している。
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