その子なりの道がきっとある。焦らず信じて頑張りましょう【不登校生の保護者インタビュー 第4弾】

不登校の子を持つ保護者の方に、我が子との向き合い方を伺う「不登校生の保護者インタビュー」第4弾。今回は、不登校の子どもとの日常を綴ったブログ「焦らずに頑張ろう」を運営している「しらゆきさん」にお話を伺いました。

感性が違う双子

――本日はよろしくお願いします。 まずは自己紹介をお願いします。

しらゆきと言います。
現在義理の両親と夫、双子の娘2人の6人で暮らしています。
不登校になったのは、長女の真帆(仮名)で、現在中3の14歳です。

――真帆さんの状況を教えてください。

小学3年生の終わりから登校しぶりが始まって、4年生の時には行ったり行かなかったりの五月雨登校でした。

5年生の秋からはもう完全に行かなくなりました
そのころには、家の中でも学校にこだわる必要はないという結論になっていました。

中学では週2回、相談室に登校しています。

小学校に行きたくない、なんてあるはずない

――真帆さんが「学校に行きたくない」となったのは、いつごろでしょうか?

小学3年生の時に、担任の先生から「真帆さん、最近眠れてないみたいで、5、6時間目になると机に伏せてぐったりしてますよ」という連絡をもらったんです。

小学校に入ってから子どもだけで寝かせるようにしていたので、真帆が夜眠れていないことに全然気づきませんでした。

真帆に話を聞くと「学校に行きたくない」と言い始めたんです。

――「学校に行きたくない」と言われた時の心境はどうでしたか?

始めは、小学生が学校に行きたくないと思うなんて、あるはずないと思いました。

真帆のランドセルを引っ張って、家の外に連れ出して蹴っ飛ばしたこともありました。
「行きなさい。みんな行っているのに、なんであなただけ違うの」という感じでした。

――学校に行きたくない理由について、真帆さんは何か話していましたか?

最初は、腹痛や頭痛を訴えてくるんですが、痛みが治まっても学校には行けないんです。
「どうして学校に行けないの?」って聞くと「分かんない」って言うんです。

「もっとお母さんと一緒にいたい」とか「お母さんが心配」とも言っていました。

実は当時、夫が重度のうつ病と診断され、私は夫をケアするのに神経を使っていました。
私自身も仕事をしていて、子どもに目をかける余裕がありませんでした。

それが原因で学校へ行きたくなくなったのかなと思ったりもしました。

それ以外にも、小学2年生の時に学校の先生に殴られたことと、通学中に転んでケガをして、1ヶ月入院をしたことが不登校の引き金になったのかなという気もしました。

―― 結局、学校に行けない原因はわかったんですか?

どこか体が悪いのでは、と思って病院や漢方医院を回りましたが悪いところは見当たりませんでした。

小学4年生の時に児童精神科を受診した時に、適応障害と不安障害ではないか、と診断され抗うつ剤が処方されました。
抗うつ剤を飲むと夜は眠れるようになったんですが、朝はだるくて起きられないんです。

でも、私が学校に行かせるために、毎朝無理やり起こすので、真帆はとても辛そうでした。

そして5年生の時に「薬飲んでるのに良くならないし、生まれてこなければ良かった。死んでしまった方がマシだ」って泣きながら言ったんです。

それを聞いたときに、私は何の治療しているんだろう?そんなに学校って大事かなと改めて考え始めました。

その結果、病院も薬もやめて、元気になることを優先しようと思ったんです。

――病院や精神科は全く効果がなかったんでしょうか?

小学3年生の時に受け始めたカウンセリングはとても効果がありました。
最初はあんまり喋らなかったんですが、5年生ぐらいから「誰々ちゃんが嫌だった」とか「先生が嫌だった」とか、嫌だったことを話し出したんです。

お友達に「私消しゴム忘れたから、もらうね」って消しゴムを持って行かれてしまい、真帆は「返して」って言えなかったそうなんです。

その時「なんで私こんなふうに使われるんだろう」って思ったみたいで、それも学校が嫌になった理由の一つだったみたいです。

カウンセリングのおかげで、真帆は自分の気持ちを話せるようになりました。

やりたいことと、できることと、嫌なこと

――小学5年生の時に「学校に行かなくていいよ」と伝えてからお子さんに変化はありましたか?

最初は「何がやりたい?」って聞いても「何していいかわかんない」「何が好きかわかんない」って落ち込んでいました。

でも、しばらく経つとストレスから解放されて、すごく笑うようになりました。

6年生の4月には、朝は自分で起きれるようになりました。
自信が出てきたのか、ある日「体鍛えたい」と言って、筋トレを始めたり、PerfumeのDVDを見てダンスを完コピしたりするようになりました。

登校を辞めてからやりたい事がたくさん出てきて、私はこういう生活をするんだ!っていう風に決めたようでした。
一人でライブにも行きましたし、お友達とディズニーランドへ行ったりもできるんです。

学校っていう箱が嫌だったみたいで、それさえなければ一人で外出もできるんです。

娘は「太鼓の達人」というゲームが上手だったので「ドラムのセンスあるんじゃない?」って言ったら、
「やりたい」と言ったので、私がドラム教室を見つけてきました。
今では一人で月3回通っています。

子どもがやりたいって言ったことを、親が手助けするのは大事だと思います。

――中学校に上がる時に、なにか準備したことはありますか?

小学6年生の秋に「私、勉強嫌いじゃないんだよね」って言うようになったんです。

でも「教室には入りたくない」とか「先生は笑っているけど、本当は怒ってるのがわかっちゃうから嫌だ」「友達が寄ってくるのも下心があるから苦しい」とか色々な理由から学校で勉強することは難しいので、家庭教師を探すことにしました。

ネットで家庭教師を探していると、心理学部に通う女子大生を見つけ、彼女にお願いしました。
初回の授業の前、真帆は初対面の先生に対し不安そうだったんですけど、授業が終わってみると案外大丈夫だったようでした。

小学4年生から全く勉強してなかったので、初めは1日1問解いたら、あとの時間は先生と話をして過ごしていました。

授業は週1回だけなのですが、その時に1週間分の宿題を出してもらうんです。

―― 宿題はちゃんと出来ているんですか?

先生が「宿題どれぐらいできる?」って聞いてくれて、真帆と話し合って決めてくださっています。
真帆は先生を信頼していて、先生の気持ちに応えたいっていう気持ちがあるようで、宿題は自発的にやっています。

勉強することにも慣れて、中学校に入る頃には、小学校の復習は全部終わってしまいました。

その時に、小学校は全然勉強してなくても大丈夫なんだな、と思いました。
考えてみれば、小学校では5教科以外もやるし、行事もあるし、たくさんの生徒相手に教えるので、授業の進行も遅いんですよね。

一対一だと、ぎゅっと詰まってるから、意外と早いペースで進めたんです。

勉強に関しては、次女の志帆の方が問題で、あなたのやる気スイッチどこにあるのって感じです(笑)
志帆の言葉の端々に「あたしは学校行ってるんだけど。あたしは平日頑張ってるんだよ」って言うのが滲み出ててますね(笑)

少しづつ、できることが増えていった

――中学進学にあたり、学校へ何か協力をお願いされたことはありますか?

まず、真帆から「中学校は行ってみたい」という話があったので、通学するのにネックになっていることが何かということを聞きました。

制服が嫌だということと、教室には入れないけど相談室に行くことはできる、ということが分かったので、
小学6年生の12月に、私が中学校へ行って校長先生と直接話をしました。

スクールカウンセラーの助言もあって、制服は着なくていいことになりました。その中学校の体操服登校は娘が第一号です。
そして、スクールカウンセラーがいる相談室へ週2回登校することになりました。

娘は小学校の時に、ベテランの女性の先生に叩かれたことがあったのでベテランの女性教師が苦手。
そして、大きい声を出す男の人も苦手なんです。

そこで校長先生に「優しい若い女性の先生がいいです」っていうお願いをし、それも配慮していただけました。

通学するうちにテストだけは受けてみよう、となって定期テストだけは別室で受けているんです。
勉強は家庭教師の先生と一緒に家で全てやるようにしました。

自分で4,5時間勉強している時もあります。

――何か目標があって勉強しているのでしょうか?

通信制の高校を探して、娘の条件に合うような所が見つかって、本人もそこに行くって決めてます。
家庭教師が某大学の心理学部の学生で「大学はそこに行きたい」って言うんです。

行けるかいけないかは別にして、目標があれば頑張れるので、すごくよかったなあと思ってます。

子どもが不登校になった時、学校との付き合いかたを考える

――不登校になった頃、学校との関わり方について意識したことはありますか?

学校の先生と協力関係を築いている方が、私が楽だということがわかりました。
先生に「娘だけ特別扱いっていうのは、私も良くないとは思うんですが、どうしても配慮が必要なことだけ協力してもらえると助かります。
出来る範囲のことで構いませんので、お願いできませんか」って伝えると、大抵受け入れてもらえるんです。

「これぐらいのことしかできません」と言われたら、
「構いません。もし、先生が困ることがあったら、親の私ができる限りのことをしますので、言ってください」と伝えるようにしてから、
学校とも良い関係を築けるようになりました。

それから、多少無理難題があっても対応してくれるようになりました。

――学校への欠席の連絡についてはどうでしたか?

毎朝、出発時間ぎりぎりまで、行けるかどうかわからないんです。

起きた時は「行ける」って言うんですけど、だんだんお腹が痛くなって「やっぱり今日行かない」ってなるんです。
私は、その間、真帆を起こしつつ、着替えさせつつ、自分の準備もしなきゃいけなくて、すごい辛かったです。

「どうして行けないの?」って詰問口調で聞くと、真帆は頭から布団をかぶって、出てこないこともありました。
そんな時はノートに「何か言いたいことある?」と書いて、布団の中に差し込むんです。
そうすると「分からない」とか書いて返ってきていました。

謎の絵が描かれて返ってくることもあって、私も「うまいじゃん」って返事するような時もありました。

「学校に連絡しなきゃいけないから早く決めなさい。行かないなら行かないって言えばいいじゃない」っていう言い方をしたりすると、
真帆は「行かなくていいって言ってるけど、本当は学校行かせたいんでしょ」って言うんです。
私の本心を見抜いているんですよ。

子どもからすると「行かない」って言いづらかったんです。
当時は、真帆だけ勉強が遅れちゃうって焦っていたし、夫のうつ病のことなどもすべて私一人で背負い込んでいました。

あと、学校の先生から「お母さんのせいじゃないですか?」とか、ご近所さんに「あそこのお家、お子さんが学校に行ってないみたいよ」とか言われたくないって気持ちを優先していたんです。
どうしようこの子、お先真っ暗だと思っていました。

朝の時間が本当に苦痛で、子どもにもかわいそうなことしたなと思います。

学校への欠席連絡についても、親にとっては毎日電話しないといけないのがすごく負担でした。
先生は「連絡がないと、子どもが家を出たはずなのに学校についていない。行方不明なので探さなくちゃいけなくなる」と言うんです。

「メールでの連絡じゃダメなんですか?」って聞いたら「メールは禁止なんです」って言われました。
イレギュラーなんだし、保護者と担任の間だけでも融通をきかせてもらえたらすごく助かると思いました。

小学5年生で学校へ行かなくていいと決めた時に、「学校へは基本行きませんので、行く時だけ連絡します」と伝えました。
それからは、すごく楽になりました。

――双子でも学校に対する感じ方が違うんでしょうか?

双子といってもまったく違っていて、小さいころから、真帆の方が内面的に大人でした。
志帆は、友達に悪口を言われてもやり返せるタイプだったんですが、 真帆は黙っちゃうんです。

家でも、私が志帆を叱って家の外に出そうとすると、真帆が身を呈して「お母さんやめて」ってかばうんです。
同じことを真帆にしても、志帆は知らん顔していました。

真帆の不登校について、志帆が「真帆ばかり休むのは、ずるい」と言った時がありました。
親としては対応が難しくて「じゃあ、学校休めば」と言って、志帆が1日休んだことがあったんです。

そしたら次の日には「休んでてもつまんないから、学校行く」って言って、学校行ったんです。
もう全然違うんですよね。

志帆は1日1回ぎゅーってやれば満足するけど、真帆は1日10回ぎゅーってしてあげないと不安になっちゃうんです。
真帆の不登校を通して、愛情は、その子が必要な分だけそれぞれ与えてあげないといけないんだな、という事にも気が付きました。

―― お子さんと接する上で気を付けていることはありますか?

私自身が二人姉妹の長女なんですが「お姉ちゃんでしょ」と言われて育ったこともあり、妹の方がひいきされてるって感じていた時期があったんです。
だから、私の子どもは双子だし、絶対平等に育てようって心に決めていたんですが、今はその子その子に合った対応するように気をつけています。

「こうしなさい」とか「だめだよ」とかマイナスな言葉も使わないようにしています。
娘から「どうしたらいい?」って相談された時には「こういう風にしてみたら」って提案するような言葉を使っています。

本人から「嫌だ」っていう言葉があったら無理強いはしないです。

志帆が「授業中、寝ちゃいそう」って言った時には「人に迷惑はかけちゃいけないけど、上手くやりなさい」とアドバイスしました。
眠い時はあると思うので、それを否定するようなことは言わないです。

でも、寝ているのが見つかったら、怒られなさいという事です。

中学生ぐらいになってから自己責任だよっていう所は徹底してきました。

「不登校だって進学できる」我が子の不登校に悩む保護者の方へメッセージ

―― 最後に不登校の子供を持つお母様に何かメッセージをもらえますか?

子どもが不登校になると、親はルートから外れてしまったと感じて、困ると思うんです。
でも、学校も先生の言うことも絶対じゃないです。

不登校に絶望せずに、未来は開けると信じて諦めないで欲しいです。
親が諦めちゃうと、子どもは自分でどうにもできなくて、引きこもっちゃったりするかもしれません。
でもその子なりの道は必ずあるので、焦る必要もないし、心配も必要ないです。

「学校に行きなさい」と言うよりも、どうしたら元気になるのかなっていうところから考え始めるといいです。
今の子は繊細で感受性が強いので、理不尽なことには傷ついてしまうし「先生が思っていることと、言ってることが違う」っていう矛盾も敏感にわかるんです。
そういう子は学校が窮屈になってくるのですが、親は学校以外の道もあるんだという安心感を持てるといいと思います。

例えば、小学校も中学校も、学校に行かなければ留年すると思っていたんですが、実際、義務教育の間は、いくら休んでも進学できるんです。
勉強で言えば、家庭教師や塾など補う手段はたくさんあります。

学校のテストでも名前を書いたら評価で「1」がもらえるんです。
日本はまだ、家庭内学習って定着してないんですけど、海外だと普通だったりもします。
進学に関しては、通信制高校はいっぱいあるし、大学へ進学もできます。

先生は学校に来た前提で話をするんですが「お母さん、進学については問題ないので、家でちゃんとケアをしてあげてください」って言う言葉があれば、親はとても安心できると思います。

――あたたかいメッセージありがとうございます。
  本日は貴重なお話しを聴かせていただき、ありがとございました。

◆しらゆき
双子の娘を持つママブロガー。
不登校の娘や、日々の出来事を綴ったブログ「焦らずに頑張ろう」を運営。

編集後記

しらゆきさんは、真帆さんの不登校を経験して、辛いことも悩んだことたくさんあったと思うのですが、さらっとお話される姿が印象的でした。
保護者の方は板挟みになって苦しいことが多いはずですが、そんな中で環境づくりに邁進し、結果娘さんも目標を見つけて頑張っている事が何より素敵でした。

また、学校に配慮してもらえる関係性を築くことの重要性や、やり方次第でスムーズに進めることができるという話は、学校になかなか理解されない状況に困っている保護者の方にとって参考になるお話だったのではないでしょうか。

双子のお子さんの対比が大変興味深いお話でした。

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