フリースクールインタビュー企画!
今回はオンライン(Zoom等)でフリースクールを開催している「夢中教室WOW!」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。
まずは自己紹介をお願いします
はじめまして!
夢中教室の代表をしている辻田寛明(つじたひろあき)と申します。
夢中教室は生徒からも伴走先生同士でもニックネームで呼ぶことが多いので、僕は「つじ」をひっくり返して「じーつー」とよく呼ばれています。
茨城県出身で、大学時代は東京大学で経済学を学んで、インドネシアの貧困研究に取り組んだりもしていました。
趣味はキャンプや登山などのアウトドアです。
あとは「超」がつくほどの歴史オタクで、日課はPodcastで「コテンラジオ」を聴くことです。
夢中教室WOW!はどのようなフリースクールですか
夢中教室は、家から出るハードルが高くても、安心できる家から信頼できる「第三の大人」と出会い、夢中になれるような「好きなこと」を見つけ深めていくことを通し、自己肯定感を温め、次への一歩を応援していくオンラインのマンツーマン伴走サービスです。
学校には行きたくない、リアルなフリースクールもまだハードルが高いというお子さんが、少しずつステップアップしていくための伴走サポートを目指してます。
夢中教室はこれまで200名近くの子どもたちが利用していて、100人100通りの授業が展開されています。
「第三の大人」として、倍率3倍以上の選考をくぐり抜けた、子どもたちに寄り添うことが得意な心優しい「伴走先生」たちが40名ほど在籍しています。
フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください
僕自身、子どもの頃に素敵な「第三の大人」と出会えた体験がとても大きいと思います。
その人は美容師さんだったのですが、面白い本を紹介してくれたり、その人が行った海外の話や興味深い社会の仕組みの話など、色んな話をしてくれて、いつでも僕の未来を一緒にワクワクしながら考えてくれるような人でした。
そんな人と出会えたからこそ、僕は自分自身の人生とこの世界の広さにワクワクすることができてきたのだと思います。
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しかし、大学時代に中高生と大学や目標について話すキャリアプログラムに取り組んでいた中で、多くの中高生が自己肯定感が低いことに気づきました。
「どうせ自分には無理」「頑張っても無駄だと思う」
そんな声を聞くことが多々ありました。
そこから、研究でインドネシアを訪れ日本と比べれば見るからに貧困地帯の子どもたちも子どもたちも生き生きとしている現実と出会うなかで、自己肯定感が低いのはきっと本人の問題でなく、日本社会が抱える問題だと考えるようになりました。
「日本の子どもたちが抱える生きづらさ」を少しでも解決できることに取り組みたいと思うようになりました。
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そしてある時、一人の小学生の女の子と出会いました。
その子が学校に行っていなくて、代わりにお母さんが働く会社に一緒にやって来ている子でした。
僕はその子と遊んだり一緒に話すことがよくあったのですが、その子はある時を境に会社のオフィスにも顔を出さなくなりました。
後に知ったのですが、ある大人から言われた言葉(決してその人も悪気があった訳ではありません)がきっかけで、オフィスにも来れなくなってしまったとのことでした。
その子は人一倍繊細で、不安を抱えやすい子だったのです。
だから、僕はその子にも届くような事業を作ろうと思いました。
たとえ家から出るのが大変だったとしても、僕が子どもの頃であったような素敵な「第三の大人」と出会えたなら、きっと人生にも少しの希望を感じれるようになるんじゃないか。
その女の子のように、今の日本には苦しんでいる子がたくさんいるんじゃないか。
そう考え、できたのがこの夢中教室でした。
オンラインで、マンツーマンで、好きなことを探究するスタイルは、こうした経験の中で生まれました。
その女の子は、今は夢中教室で楽しく歴史のお話をしています。
実際に設立してみてどんなことを感じましたか?
まず一つは思った以上に、自分の好きなことをありのままに話せる居場所がこの日本には少ないことでした。
特に家から出るハードルが高い子にとって、そういう場所はほとんどない。
2年半、色んな成長をしてきた多くの子どもたちを見る中で、勉強ももちろん大切だけど、それ以上に「自己肯定感」や「人生が少しでも楽しいと思えること」がベースとしてあることが、幸せに自立して生きていく上でとても大切だと確信するようになりました。
子どもたちとの授業も、自分の知らないことを子どもが教えてくれることもあるし、一緒に学び合っていくような伴走関係はとてもやりがいを感じることです。
もちろん、ゼロからの設立なので、プログラムの中身を固めたり、認知してもらうために、色んなトライをしないといけない点は大変なこともありましたが、何よりもやりがいがあり、ワクワクする仕事だと感じています。
運営していて印象に残っていることがあれば教えてください
一人ひとりの、色んな成長に出会うことがたくさんあるので、到底全部をあげきることはできません。
ただ、その中でも印象に残っているのは、一歩を踏み出して卒業する生徒が出るようになったことです。
学校に行かなくなり、元気もなく、勉強も何もしない、親と衝突の日々、藁にもすがる想いで入会しました。 夢中教室の先生との出会いは、家族だけの関係から、少し外に気持ちを向けるきっかけになったと思います。辛いときもありました。日中ずっと寝ていて、機嫌も悪く、授業を受けれないときもありました。 その都度先生が親身に話を聞いてくださって、途中でやめることなく続けることができ、本人の希望、新生活にむけて光がみえてきたタイミングで卒業させていただくことになりました。
このようなコメントを卒業のタイミングで保護者さまからいただくたびに、本当にやってきてよかったなあと実感します。
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もう一つ印象に残っているのは、最初自分一人ではじめたこの夢中教室に、「伴走先生」として仲間が集まってきてくれたことです。
元特別支援学校の先生、アメフト日本一になったコンサルタント、フィンランドで高校教員経験をもつ人…
本当に多様なバックグラウンドで、それでいて「じぶんと世界が好きになる出会いと伴走を届けたい」というビジョンに強く共感してくれている、素敵な仲間が集まってくれたことに感謝しかありません。
これからどのような場所にしていきたいですか?
もっともっと、必要としている人たちにこの伴走を届けていきたいです!
そして、プログラムの内容も、発達の特性や本人の気質・状態に合わせて、より好きなことに夢中になれるようなメソッドへとブラッシュアップさせていきます。
同時に、さらに多くの伴走先生を集め、より自分に合った伴走先生とマッチングできるような仕組みも作っていく予定です。
また、一歩踏み出して自己肯定感が温まり始めた子たちが、次は「じぶん」と「世界」をさらに広げていけるような多様な体験をできるプログラムの開発を進めていきます。
現在、横のつながりをつくる「オンラインコミュニティ」や、多様な生き方を知れる「オンラインキャリアプログラム」、好奇心を拡大していくような「少人数ゼミ」をつくっているので、これをより良い場所へとしていきたいと思います。
そうやって、誰もが、じぶんが大切にしたいものを大切にできるような、そんな場所にしていきたいと思います。
最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!
こうして読んでいらっしゃる保護者の方々は、きっと誰よりもお子さんのことを考え、葛藤してこられたのではないかと想像します。
まず、そうした皆さまの頑張りは、きっとお子さんの心の奥に届いていることだと思います。
本当にいつもお疲れさまです。
私たち夢中教室は、そんなご家庭さんにも伴走していくような存在でありたいと思っています。
ともにお子さんのことを考え、試行錯誤していく、二人三脚する伴走パートナーになれたら嬉しい限りです。
夢中教室は子どもたちの居場所の選択肢の一つです。
色んな選択肢を考えていただいた上で、ここはありかもしれないと思っていただけたら、ぜひお声かけください。
その時は、皆さまが大切にしたいものを大切にできるように、一生懸命お子さまとご家庭に伴走させていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。
- ◆フリースクール「夢中教室WOW!」の詳細はこちら
- https://miraitizu.com/freeschool/51265
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