【インタビュー】フリースクール「志塾フリースクール TRANSIT教室」に設立の経緯を聞いてみました

フリースクールインタビュー企画!
今回は大阪府でフリースクールを開催している「志塾フリースクール TRANSIT教室」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。

まずは自己紹介をお願いします

志塾フリースクールTRANSIT教室で教室長をしております、串田と申します。元々は薬剤師だったのですが、福祉業界での仕事に興味を持つようになり、それからは長らくこの業界で従事しております。

趣味はバスケットボール、アウトドア全般、スノーボード、水回りを極限まで掃除すること。最近では生徒に教えてもらったスマホの音ゲー(プロセカ)などもはまってます。

面白いことならなんでも、まずは挑戦してみる、そんな人間です。

志塾フリースクール TRANSIT教室はどのようなフリースクールですか

アットホーム、これにつきます。とにかく生徒たちに対して、対面での関係にならず、できるだけ同じ方向を向いて一緒に座っているようなイメージでの対応を心がけています。スタッフ全員が、そういったスタンスで、「教える」のではなく、一緒に「学ぶ」という姿勢でいたいと考えています。寄り添いこそが最も大切な要素だと言われる業界ですが、そこは基本に据えつつ、友達のような、先生のような、微妙な距離感を保ちながら、時にはふざけ、時には厳しく、生徒達と触れ合っています。

また、生徒ひとりひとりの意見を尊重し、行動は生徒に極力任せているのも特徴かなと思います。毎月2回のお出かけイベントの内容は、全て生徒に決めてもらっていますし、ゲームの時間に正時ルールというものを取り入れて、自分で決めた時間に始め決めた時間に終わるということを意識づけてやらせていたりします。

フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください

私が過去にセブ島というところで長く暮らしていたことがあり、ゲストハウスを営んでいた頃の話です。セブ島は格安英語留学の走りみたいなエリアなんですが、そこへお母さんがうつむき加減の息子を連れて、はるばるセブ島までやってくることが何度かありました。

最初は挨拶どころか目も合わせることもしてくれない子どもが、滞在が1ヶ月2ヶ月と日を重ねる毎に、どんどん明るく元気になっていき、帰国する頃には「まだ帰りたくない、楽しい!」と目を輝かせて言うのです。聞けば彼らは不登校。ホスピタリティの以上に高いフィリピン人のパワーで心はすっかり開かれ、不登校の子どもたちは新たに身につけた「英語」という武器で自己肯定感もUpし、本当にみちがえるような姿になります。

私は、そんなポテンシャルを秘めたセブ島で、日本人の不登校児童をケアする仕組みを作りたいと思ったのがきっかけです。

実際に設立してみてどんなことを感じましたか?

いやー、、、理想と現実は、やはり程遠いなと(笑)

とんでもなく乖離している現実の状況に打ちひしがれ、愕然とし、考えをやめようか、いやでもそれをやめたらオリジナリティの根幹がぐらついてしまうと、葛藤する日々です。信念を曲げてまで運営をつづけるのかどうかも悩むところなので、今の所は形を変えて、当初、本当は100ぐらいのことをやりたかったところ、今は5ぐらいの取り組みで、でも撤廃はせずに頑張って取り入れています。

その最たるものは、「英語」です。

英語を売りにしたフリースクールとして、華々しくスタートを切りたかったはずでしたが、いざネイティブの先生を入れると生徒は逃げるし、怖がるし、楽しく英語で遊ぼう!というコンセプトなのに、「勉強」として身構えちゃって、楽しんでくれないんですよね。

これは、ネイティブの先生とも足並みを揃え、じっくりと立ち位置を確認しながら、カリキュラムに落とし込んでいければと思っています。

それだけでなく、農業や体験活動など、全てにおいて、自分は面白いから生徒にもやってほしいと思ったことが、ことごとく失敗したりしてきました。その全てが、今の私達の糧となって、生きています。

運営していて印象に残っていることがあれば教えてください

当法人では、子ども食堂の事業も行っているのですが、フリースクールの生徒さんたちにも、有志を募ってお手伝いをしてもらっています。

ある子ども食堂のとき、まだ中学生の生徒たちが、自分でしっかり考えて動き、お客さんや自分より下の子供の面倒をみたり、食事のサーブを行ったり、と思ったら何も指示していないのに食器をさげて、洗い始めたり。

もうたかが中学生ではなく、もう立派に、そこらの大学生、いや下手すると大人よりもよっぽど頭がよく仕事ができる!という子がいることに、衝撃を受けました。たった14歳とかそこらの子が、こんな動きを自発的に行動できるんだと。空恐ろしく感じたものでした。

これからどのような場所にしていきたいですか?

もっと気軽に、学校帰りの児童なんかでも遊びに立ち寄れる場になればいいなと思っています。不登校児と学校に通えている子たちを分け隔てることなく、一緒に遊べるような空間になればいいなと思います。

学校に行けていない子は、そりゃ悩みはたくさんあるでしょうけど、学校に行けてる子だって、悩みは尽きません。私みたいな大人だって、人間は悩みながら生きてるんです。でも悩みというとネガティブですけど、それを(いまはできていない(=悩み)けど)未来はこうしたい!と胸を張って自分の夢や考えを発表できるような、素敵な子に生徒達がなってくれればいいなと思っていて、そのためには、ここにいる大人も、ワクワクとした未来を語れるようにいなきゃと思っています。

そうすることで、自然と、子どもたちがそういった悩みじゃなくて、目標みたいなポジティブな変換をして、語り合える場を醸成していければと思っています。

最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!

今この記事を見てくださっている方々は、色々な立場に置かれてることと思います。不登校の子を持つ保護者の方だったり、不登校の生徒本人だったり、不登校の友達がいる子、不登校の子の親戚、クラスメイトに不登校がいる子、学校の先生、フリースクール関係者、などなど。

でも、常日頃思うのは、うちに籠もらず、自分のことを誰かに話してみましょう。不登校はもはやかっこ悪くもダサくもなく、また当然「悪」でもありません。ひとつの立派な生き方です、保護者の皆様には自分の子どもが、満身創痍で選んだその生き方を、まずは精一杯褒めてあげて欲しいです。

毎年8月も後半になると、自殺者の話しもニュースでよく飛び出します。人間がたったひとつだけもっている大切な命は、思っている以上に些細なことがきっかけで、その鎧はもろく崩れ落ち、つついただけで壊れてしまうことだってあります。

私達の使命は、大切な命を守ること、また本人ひとりひとりがそれを大切にし守る必要があると認識させ、その手段を身につけさせることだと思っています。

――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

◆フリースクール「志塾フリースクール TRANSIT教室」の詳細はこちら
https://miraitizu.com/freeschool/26356
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