フリースクールインタビュー企画!
今回は三重県 / オンライン(Zoom等)でフリースクールを開催している「フリースクール「サードプレイス」」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。
まずは自己紹介をお願いします
三重県四日市市にあるフリースクール「サードプレイス」です。2026年4月で開設して10年を迎えます。当初は、不登校の子どもの居場所として運営しておりました。行き渋りや、学校へは行っているが勉強がついていけない、学び直しを必要としているお子様も多く、現在は様々な状況のお子様に通って頂いています。
フリースクール「サードプレイス」はどのようなフリースクールですか
当初は不登校の子どもの居場所を作りたいという思いから、立ち上げました。ただ居場所だけでは、子どもに必要なニーズを満たすことができないと感じ、臨機応変にその都度必要なことを模索してきました。
完全に不登校になるまでには行き渋りの時期があり、また学校との関係が悪化していたり、親子関係もうまくいっていないケースもあります。そういう時にはカウンセリングの時間を多くとって、その子どもに一番最適な方法を探りながら対応をしてきました。
また、不登校になると学習の遅れが顕著になるため、学習支援や学び直しも必要となってきます。もちろん、子ども同士で過ごす時間も必要なのですが、その前に必要が支援を提供したいと考え、現在は、≪完全個別支援≫を基本にしています。
それ以外にはコミュニケーション能力の育成、思考力の育成の一環として≪表現・対話の授業≫をしたり、2026年の春からは≪教育相談・カウンセリング部門≫も立ち上げました。子どもは突然不登校になるわけではなく、必ずそのずっと前から、原因となる出来事を経験していたり、ある時点から学校へ行きたくない・合わないという感情を持っています。学校へ行かなくなったから慌ててどこかに相談に行くケースが多いと思うのですが、普段のちょっとした困りごとや、医療機関などへ相談する以前にどこかに相談できる場所というのは多いようで少ないと感じます。本当は学校の担任の先生に気楽に相談できる関係が築けていると一番いいのですが、現実問題それができない場合も多いです。
私たちはこの10年様々な相談を受けてきたのですが、ほとんど口コミの状態でしたので、正式にメニューを作りました。オンラインでも対応致しますので、是非ご利用頂ければと思います。
フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください
元々、高校の教員をしていたメンバーで立ち上げました。外から見れば「学校」というのは何か立派なところのように見え、そこで働いている教員も立派な人のように見えます。また、学校にさえ行けば将来が何とかなると学校にしがみついている子どもや保護者も多いです。一昔前ならそれも通用していたかもしれませんが、変化が早く、これだけ価値観が多様化している現代では、全然通用しません。
また働いている身としましても、学校という、こんな窮屈な場所はないと感じてきました。本当に必要なカリキュラムや課題を提供しているわけではなく、体裁だけを取り繕う仕事が非常に多い中、流れ作業のように時が過ぎ、振り返ったら一体何をしているか分からない。教員がそう感じているのだから、感性の敏感な子どもはもっと感じていると思います。また学校のカリキュラムを一生懸命に完成させたからと言って、将来それが役に立つかどうかは分かりません。路頭に迷っている若者、大人もたくさんいます。
せっかく教育という仕事に携わったのだから、一から教育について考えて実行してみたいという思いで、設立しました。
実際に設立してみてどんなことを感じましたか?
当初は「居場所作り」ということで運営を始めました。子どもたちが、ゆっくりと時間を過ごし、癒えていくと、次は学習の方に目が向くことが多いです。子どもだけでなく、人間という生き物は、本来の生命力が戻れば、「学びたい」「知りたい」「成長したい」「楽しみたい」と自然と出てくるものだと思います。ですから、特に成長途上の子どもたちに、ずっと居場所を提供し続けるということに違和感を持つようになりました。元々、専門知識を持って仕事をしていた身として、やはり、学びの支援をしたいという気持ちが強くなり、現在は学習支援をメインにしています。
とは言え、不登校になる原因も様々ですし、それに加えてご家庭の状況、また学校との関係、親御さんの精神状態などを全て考慮すると、個々の対応が必要になります。じっくり話しを聞きながら、また学ぶスピードやカリキュラムもその子どもに合わせて行いますので、ほとんどカウンセリング作業が多いです。子どもの話を遮らず、耳を傾けていくうちに、どんどん子どもがしゃべり出すので、自ずと課題や本人の想いや希望が見えてくるので、私たちはそれをキャッチして対応するというその作業の繰り返しのように思い、現在はそのように対応しています。
運営していて印象に残っていることがあれば教えてください
コロナの時期に、マスク着用を常時義務付けられていたせいか、以来ずっとマスクがとれない子どもが多いです。ここに相談に来くる子どもも最初はみんな、マスクを付けています。特にこちらから取るように言ったことは一度もありませんが、打ち解けてきてしばらくすると自然に取るようになります。
特に今の子どもたちは幼少期にコロナ禍真っ只中でした。もちろん、最初は予防のために着用していた(もしくは先生や保護者、または集団意識がさせていた)のでしょうけれども、現在では少し用途が変わってきて、一種、自分を守る盾のようなものとして使われているのだと思います。世の中に蔓延るルッキズム(外見や容姿を重視し、それに基づいて人を判断したり、差別的な扱いをしたりすること)によって「マスク」が取れないという子どももいました。
大人、特に女性も化粧が乱れたりノーメイクでもマスクを付ければ隠れるので、便利な部分もありますが、子どもはおそらく心理的な要因が大きいです。「マスクを取った=心の鎧を脱いだ」というバロメータにもなると思いました。マスクを取るまでのそれぞれの経過が印象に残っています。
これからどのような場所にしていきたいですか?
これからの世の中、学校へ行っていれば将来安心ということはありません。また、インターネットなどで世界中と繋がれる世の中ですから、ずっと同じコミュニティで一生を過ごすということもさらに減っていくと思います。「学校に合わなかったから将来もこのままなんじゃないだろうか」と不安になっている子どもや親御さんは多いです。おそらく、過去の様々な経験からマイナス思考に寄っていきがちになるのだと思いますが、それでは未来もずっと同じことの繰り返しになってしまいます。とにかく「不登校になったからこそ得られる経験や時間、縁」というものがあると思いますので、それを生かせられるようにする力や考え方を、落ち着いた時間の中で子どもたちに付けてもらえる場にしたいと考えています。
最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!
最初は不登校の子ども対象に運営してきましたが、不登校に至る迄に様々な過程があるということと、一見子どもが困っているようで、実は親御さんが困っていることも多いと、ずっと感じてきました。
人間は私も含めて大人になったからと言って、人生におけるすべてのことが完璧に なるわけではありません。就職して適齢期になれば結婚し、子どもが生まれたら一人前の人間のように周りからは扱われますが、実は様々な課題を置き去りにし、迷いながら生きているのが、ごく普通の人間の姿ではないでしょうか。
例えば、育ってきた環境・自身の親子関係・キャリア・夫婦関係・経済・家族や家族外での人間関係など、人には言っていないだけで、実は親御さんが深い悩みを抱えていたというケースもたくさんあります。色々お話を伺ううちに不登校相談だけにはとどまらないので、≪教育相談・カウンセリング部門≫を立ち上げようと思ったのがその理由です。
ちなみに子どもの「不登校」や「躓き(つまずき)」というのは、子どもから親御さんへの「大きなプレゼント」だと私は感じています。子どもの「不登校」や「行き渋り」という出来事を通して、親御さんの考え方、生き方、これまでの価値観も大きく揺さぶられることになるからです。一時の混乱を伴いますが、新たな再スタートを切るために与えてくれた「出来事・時間」だと捉えることができれば、かけがえのない経験になるのではないでしょうか。
どうしても現在の教育システムが合わない子どももたくさんいますし、学校へ行く、行かないは最終的に目指すゴールではありません。「躓いたり失敗しても自分と向き合い、また歩き出す。」いつまでもこの繰り返しができることが最終的なゴールだと私は思います。これは子どもだけでなく、大人もそうです。
是非、この大きなプレゼントを大切に受け取って、扱って頂ければ、後々「子どもが不登校になってよかった」と言えると私は感じます。
――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。
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- https://miraitizu.com/freeschool/111349
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