【インタビュー】フリースクール「フリースクールヒュッゲ」に設立の経緯を聞いてみました

フリースクールインタビュー企画!
今回は新潟県でフリースクールを開催している「フリースクールヒュッゲ」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。

まずは自己紹介をお願いします

私、関口健志は25年以上、家庭教師、ひきこもり支援相談士として学習支援以外にも不登校・ひきこもりなどで悩み、苦しんでいる子どもたち、親御さんの声を聴いてきました。その度に学校、家庭以外の自分らしくいられるもう一つの居場所の必要性を強く感じていました。

しかし、全国同様、県央地域も少子化にも関わらず、不登校の児童・生徒は増加傾向ですが、彼らの居場所となりえるフリースクールの認知度はまだまだ低い状況です。

それらの現状、課題を改善し、未来を担う子どもたちのために県央地域に2019年1月、「フリースクールヒュッゲ」を開校しました。

フリースクールヒュッゲはどのようなフリースクールですか

ヒュッゲは月~金の9時から15時までなら子どもたちは、いつ来てもいつ帰ってもいいというかたちでやっています。カリキュラムがあるフリースクールも多いですが、ヒュッゲではあえてカリキュラムを置いていません。子どもたちの関わりや、本人のペースを大事にしたいと思っているので。フリースクール内では各々が好きなことをやっています。勉強する子もいれば、ゲームをしたり、絵を描いたりする子もいます。仲よくなって、子どもどうしでいっしょに遊ぶ姿もよく見ます。

今はおもに小学生・中学生の子たちが来ているのですが夏休みといった長期休暇になると、預け先がないことから、学区や学年に関係なく学校へ行っている子どもたちが来ることもあります。ヒュッゲは学校や家が苦しい人たちの居場所なので、「不登校」という明確な線引きはしないようにしているんです。「ちょっと息抜きに」と大人や親御さんが遊びに来るなんてこともあります。ヒュッゲは年齢や経験、バックグラウンドに関係なく、必要であればいつでも誰でも来てもらってよいという居場所なんです。

よく取材などでヒュッゲに込めた思いなどを聞かれる機会があるのですが、じつはヒュッゲを営むうえで自分の思いはあまり前に出さないようにしているんです。もちろん、思いがないわけではありません。ただ、あくまで主役は子どもたちですから。子どもたちにとって居心地がよいのが第一だと思っています。子どもたちには、子どもたちの考えがあると思うので、それをちゃんと尊重できる居場所になりたいなと。そのうえで子どもたちにやりたいことを思い切り楽しんでもらえたらと思いながら、日々ヒュッゲを開けています。

フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください

大学卒業後「教育関係の道へ行きたい」という思いがあったので、私は家庭教師や塾講師の仕事に就くことにしたんです。そこで、子どもたちと関わるようになりました。当時、受け持っていた生徒のなかには、いろんな事情で学校へ行けない子が多くいましてね。仕事を通して、さまざまな苦しみを抱える彼らとふれ合ううちに、自然と学校へ行けない子どもたちに「何かしたい」と思うようになりました。また、私には弟が2人いるのですが、1番下の弟が不登校になったり、真ん中の弟がひきこもりになったりと、私自身が不登校・ひきこもりの家族としての経験もあったんです。そのことも不登校に意識を向けるきっかけになりました。

子どもたちと関わるなかで「学校は行きづらいけど、家も息苦しい」という子どもの思いを私はたくさん聞いてきました。そこで学校と家庭以外のもう1つの居場所がつくれないかと考えたんです。私は、ひきこもり支援相談士という資格を持っていて、資格勉強をするなかで、フリースクールという存在を知っていました。そこで「フリースクールのような第3の居場所を子どもたちにつくれたらいいのではないか」と思い立ったんです。

当時は不登校親の会やひきこもりの会にも参加していたのですが、そこで「居場所がほしい」という親御さんの声を聞いたことも原動力になりました。つねに子どもが家にいるという状態では外や仕事へも行けないので、親御さんにとってもストレスになってしまうんですよね。そんな親御さんの負担を減らすためにも、子どもを安心して預けられる場所が必要だなと。フリースクールや居場所は、きっと子ども本人だけでなく家族のためにもなるなと思ったんです。

とはいえ、当時は居場所づくりのノウハウもなく、身近にフリースクールもありませんでした。なので、ほかのフリースクールが開催する講座に参加したり、同じ立場の人の話を聞きに行ったりして勉強しました。そして一念発起して、立ち上げたのが「フリースクールヒュッゲ」です。

実際に設立してみてどんなことを感じましたか?

居場所は「箱ではなく人」だと強く感じました。例えば、すごく立派な建物で、最新鋭の設備が整っていたとしても、自分を受けとめてくれる人や頼れる人間関係がそこになければ、人はその場所へは行かなくなります。行ったところで、自分が心を許せる環境ではないわけですから。でも、逆に心を許せる人の存在がそこにあれば、「あの人に会うために行ってみようかな」とか「この人がいるから行きたいな」と心がその場所に向いてくるんじゃないかなと。その気持ちこそが居場所にとって大切なポイントの1つな気がするんです。だから、私は人があってこその居場所だと思っています。

運営していて印象に残っていることがあれば教えてください

昨年末から社会復帰のリハビリも兼ねてボランティアの若者に子どもたちの相手をしてもらってます。彼がボランティアに来てから6ヶ月近く経ちましたが、ボランティアに来た当初に比べて、だいぶ表情や考え方が柔らかくなってきました。彼だけでなく、ヒュッゲの子どもたちも以前より明るくなり、ヒュッゲの雰囲気が今まで以上に良くなってきました。

「ヒュッゲ」という「居場所」を通し、ボランティアの彼や子どもたちにとってお互いが必要な存在となっています。世代を超えて人と人が繋がれることでそれぞれにとってプラスの相互作用が働いている様子をみることができました。

人と人と出会うことで生じる「相互作用」によってお互いがどうなっていくかわからないところが個人的にスリリングでワクワクします。皆さんそれぞれいろんな事情や背景や個性を持っており、「相互作用」によってどんな感じになっていくかはじめは未知数ですが、「相互作用」によって段々とお互いが変わっていき、自然と笑顔が増えていくのはいいですね(*^-^*)

これからどのような場所にしていきたいですか?

開校して5年目になりますが、この5年で不登校の児童生徒数は増加し、昨年は過去最多となり、ますますフリースクールなどの居場所の必要性が高まっています。

フリースクールヒュッゲは"ヒュッゲ“を理念とし、自分のやりたいこと、好きなことを自分のペースで取り組みながら、自己実現できる「自分らしく」生きるためのもう一つの居場所を提供しています。

フリースクールヒュッゲの主役は「子どもたち」です。子どもたちが「自分らしく」過ごすことができる環境を大切にしています。

子どもたちの可能性は無限大です。子どもたちの可能性を子どもたち自身で発揮できるような環境作りをより一層進めていきたいですね!

最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!

「今」に目を向けてあげることは子どもの安心につながると思います。親御さんは将来や勉強など先のことをよく心配されます。子どもを思ってのことですし、無理ありません。けれど、子どもたちが直面しているのは「学校へ行けない」もしくは「学校へ行けない自分」という今の苦しさなんです。今の苦しさを抱えながら先のことも考えるのは大人でも難しくつらいことだと思います。

だからこそ子どもたちには、休める場所やノンストレスの場所を提供してあげることが必要です。その環境さえあれば、まわりが何かしなくとも、子どもは安心しておのずと自分で変わっていきます。事実として、自ら成長していく子どもたちを私はこの目で何人も見てきました。今があってこその未来です。だから、まずは子どもの「今」に心を向けてあげてほしいと思います。

――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

◆フリースクール「フリースクールヒュッゲ」の詳細はこちら
https://miraitizu.com/freeschool/53836
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