フリースクールインタビュー企画!
今回はオンライン(Zoom等)でフリースクールを開催している「みんなでつくる!SDGsスクールコミュニティ「スタスク」」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。
まずは自己紹介をお願いします
はじめまして!ボケットと言います。
これまで公立小中学校教員や児童福祉系NPO職員を務めてきました。
教育に携わってからは約14年となります。
専門分野は教育方法学生活指導論。「勉強って、そもそも自分たちの暮らしを良くしていくためにあるよね?」という意味で、「生活をベースにした、生活に対する教育を研究する」分野です。大学院も修了しています。
その他にも、心理学や地球科学などが得意分野となります。教員時代には、SDGs研究校でユネスコスクール大賞を受賞した学校にも勤めさせていただきました。
2022年4月から独立・起業し、現在の「スタスク」をスタートさせました。
みんなでつくる!SDGsスクールコミュニティ「スタスク」はどのようなフリースクールですか
スタスクはオンラインのスクールコミュニティです。
アプリ化が可能なため、お手元のスマホやタブレットから直接アクセスができます。もちろん、PCからwebサイトを通じてログインも可能です。
アプリでコミュニケーションを取ることができるため、日常的なやり取りが可能です。そのため、自分のペースに合った学習や活動ができます。
また、Zoomなどを通じて、オンラインで授業も行っています。主要テーマは「SDGs」。今後、子どもたちが大人になっていく上で欠かせないテーマをメインに勉強を進めています。もちろん、アプリの中で日常的にSDGsの情報に触れることも可能です。
「黒板機能」や「スターポイント制」も導入されていて、子どもたちが進んで楽しく学ぶ仕組みが用意されています。運営している感覚としては、オンラインでも実際の学校の教室に近いイメージですね。
また、スタスクでは「クラスルーム制」を採用しています。保護者会コミュニティに入会していただくと、お子さんの状況に応じて、ご相談に応じ、本人に合ったクラスに所属していただくことが可能です。その際は、特別支援教育のノウハウを活かして、本人に合った教育プログラムを考えていきます。常時、アプリで親御さんと連絡が取れる仕組みですので、ご相談等も日常的にアプリからお寄せください。
またさらに、今後、バージョンアップしていく予定が山ほどあります!
フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください
僕は、公立学校において不登校対応の経験や、NPO法人職員時代に児童養護施設支援や生活困窮世帯などの生活支援の経験があります。
そういった経験の中で、
どこか口を閉ざして、何か寂しい思いを抱えながら、生きている子どもたち
に多く出会ってきました。
出会った子どもたちの中には、人間関係や社会的な関係を回復させて巣立っていった子どもたちもいます。
でも逆に、未だにどこかで寂しい思いを抱えながら、生きている子もいます。
日本社会における社会的な格差はますます広がってきました。それは「貧困」からイメージされる「お金の差」ではなく、人生における「多様な経験をする機会の差」です。
せっかく生まれてきたのに、立ちはだかる壁が多い。がんばっても報われない。
楽しい人生を送れるかどうか、見通しがつかない。
現在の不登校問題(多様な機会の喪失)は、本人のせいではなく、社会的に作られた要因のほうが大きい。
こういった課題に、なんとしてでも、立ち向かいたい。
「スタスク」はもちろん、
様々な悩みを抱える子に向けてのアプローチもしますが、
同時に、その根本となっている社会問題にもアプローチしたい!
「スタスク」プロジェクトの基本的な設計は、そういった広い視野を見通して、設計されています。
実際に設立してみてどんなことを感じましたか?
システムを組んでいくうちに、「ほぼ実際の教室のような空間」が出来上がりました。
これには、ちょっと驚きましたね。
オンライン上の空間では、実際の教室とは違って、具体物を使った授業は難しいですし、何より、子どもたちの「息づかい」のような細かい見取りが難しい。果たして、子ども一人ひとりを本当に理解しながら、支援できるのだろうか。そもそも、オンラインで授業や支援はどうやるの?
そういった懸念は当初からありました。
しかし、実際に運営してみて、自分の感覚としては、「ほぼ実際の教室」と変わらない。
そういった状況にまで漕ぎつけたんですね。
それなら、他にもいろんなことができるんじゃないかと思ったんです。
不登校というと「学校に適応できなかった」とイメージで誤解される方も多いのですが、
実際には「一つのコミュニティに適応できなかっただけ」で、「他のコミュニティに移れば、何事もなかったかのように過ごせる」可能性は多々ある。
僕が実際見てきた子でも、不登校から普通に人間関係を回復した子は何人もいます。
ですから、そういった多様な空間をオンラインで実現させたら、もっと、支援の輪は広がるんじゃないかと思ったんです。
おそらく、教育効果としても普通の学校の教室と変わらない。
学びの場は、「学区の学校の教室」に限らず、多様にあっていい。
スタスクも含めたそういった事業が、今後、次々と成功して、やがて社会の一つのモデルとなり、「不登校」という問題が、そのワードを使わなくて良いように、解決していきたいですね。
運営していて印象に残っていることがあれば教えてください
実際に、子どもたちに対面するのはオンライン授業の時など、Zoomでつないだ時になりますが、様々な表情をしてれるのが、面白いですね。
これは、普通の教室で過ごしている時も同じなのですが、それはやはり、オンライン上でも再現できている。
この感覚が面白いですね。
それぞれの個性が合っていいと思いますし、逆に、学校より「家」という場所にいることでリラックスできている子もいます。
また、騒いでも周囲に迷惑をかけることが普通の教室より少ないので、実際の教室よりも自由度が高い。それもオンラインフリースクールの良いところだと思います。
アプリで日常的にコミュニケーションが取れますが、その文面にも色々な個性が現れています。
例えば、子どもって、日常的的な疑問は頭の中で浮かんでいるのですが、実は、それを誰かに聞くこともなく、また、それを改めて調べようとする機会もほとんどないんです。
ただ、アプリがあると「それを書き留めておく」ことができる。
頭の中に浮かんだ瞬間に、ポッとアプリを開けばいい。
そういった投稿をした子の履歴は残るので、
「ああ、子どもって、こんなところに目がいってたんだな。こんな疑問を頭に浮かべてたんだな」
みたいなことを改めて感じますね。
教育・福祉に携わって約14年になりますが、そういったところから改めて、「子どもって面白いな。教育って面白いな」と勉強させられます。
これからどのような場所にしていきたいですか?
スタスクは、実はあまり「不登校」を前面に押し出してないんです。
それはなぜかと言うと、
やはり、「不登校」という言葉を無くしたいんですよね。
これは先にも話しましたが、不登校は「一つのコミュニティに適応できなかっただけ」であって、社会や学校や学びから「完全に外された」わけではない。
今までは、義務教育により、「学区の学校の教室」という選択しかできなかったんですけど、今はそれに限らない。
「不登校の子もそうでない子も、垣根を作らないで居られるスペース」
それをオンラインでアプリ化可能の「スタスク」に委ねました。
いろんな子が混じり合う中で、今まで考え付かなかったコラボレーションが生まれて、きっと、何かの奇跡が起こる。
そういった世界に、「不登校もそうでない子も、そこに差なんてない」
これをとにかく、実現したい。
「適応か、不適応か」で分けられる空間を無くしたい。
そういった場所にしていきたいですね。
最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!
スタスクは2022年7月に始まったばかりの新しいオンラインフリースクールです。
コンセプト等は、これまでお話させていただいた通りとなります。
低価格設定となっていますが、これも、これまでお話させていただいたように、「不登校」や「貧困」などの垣根を無くして、どんな子でも参加できる空間にしたい!
こういった思いがあります。
そして、なるべく、長く居てほしい。
スタスクの主要テーマである「SDGs」というのは、日本では「エコ」とか「意識高い系」みたいな誤解されたイメージが定着しちゃっているのですが、
スタスクのホームページに書いたように、今の子どもたちや、その次の世代にとって、生きる上でかなり重要なテーマとなります。
そして、このテーマの教育が、公立学校で追いついていないのも、事実。
今の子どもたちが、何の不安もなく、安心して過ごせるような社会のバトンを渡すことが、
今を生きる私たち大人の宿命なのかな、とも思っています。
いろいろな人に、このテーマの大切さに気づいてほしい!
そして、広めてほしい!
もし、スタスクにちょっとでも、ご興味が湧きましたら、
応援していただくと、何より、ありがたいです。
(ボケット:2022/8/20)
――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。
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- https://miraitizu.com/freeschool/44961
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