【インタビュー】フリースクール「フリースクール アサンテ」に設立の経緯を聞いてみました

フリースクールインタビュー企画!
今回は愛知県でフリースクールを開催している「フリースクール アサンテ」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。

まずは自己紹介をお願いします

愛知県岡崎市のフリースクールアサンテ代表の村井です。38年間,公立小学校の教諭をしておりました。定年退職後にフリースクールを開きました。不登校で悩んでいる本人の方やその家族の方々に寄り添い,元気を取り戻してほしい,「アサンテに行けば元気になる!」と言って頂けるような場所にしたいという思いは,今も健在です。

フリースクール アサンテはどのようなフリースクールですか

一言でいえば,家庭的。元気を取り戻すと公立小中学校生は,在籍校に戻ります。戻らなくてはならない訳ではないのですが,アサンテに来た時に「学校に戻りたい」と言う方が殆どで,元気になると戻ります。それで,アサンテはずっと少人数でやってきました。だからリーダー的な人もいません。その時その時に必要なことを決めたり考えたりして,活動しています。

フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください

村井の三男が中学校1年生から不登校でした。ちょうどその頃,私は,カウンセラーの勉強をしていたので,本人に「学校へ行きなさい」とは一言も言いませんでした。担任の先生も校長先生もいい方々で,本人も担任の先生とのお話を楽しみにしていました。にもかかわらず,学校には行けません。本人は適応指導教室には行きたがらず,家で引きこもるだけで行き場がありませんでした。私自身は,不登校専門のカウンセラーを見つけ,心の均衡を図ることができました。でも,不登校の子には,当時選んでいけるところがありませんでした。いろいろありましたが,おかげさまで三男は高校・大学と進学でき,今は社会人です。その時の経験で,不登校に悩む方々にできることはないかと考え,また,カウンセラーの資格も生かせるのではと考え,フリースクールを開くことにしました。

実際に設立してみてどんなことを感じましたか?

不登校の原因は,一人一人みんな違うということが分かりました。原因が本人には分からないことも多いようです。(私の三男もそうです)

学校が原因の場合:いじめが原因の方がいました。そういう子は,誰も信じられず,最初に活動室に来たときは,保護者の後ろに隠れて震えていました。学校の制度が合わない方もいました。そういう方は,アサンテに入会したことも学校には知らせないでほしいと言いました。要望はほぼ100パーセント聞き入れます。

家が原因の場合:虐待で人を信じられない方がいました。保護者自ら虐待を認め,何とか親としての信頼を得ようと努力する保護者の場合は,元気を取り戻すのが早いと思いました。保護者が親権を振りかざして,虐待している子の学校籍をよそに移してしまう(転学)ということもありました。アサンテは,精神的に支えることができたと思っています。

運営していて印象に残っていることがあれば教えてください

ホームコースから:家から出られない方には,ホームコースがあります。Aさんは,親御さんとも話さない完全緘黙の中学生でした。訪問して,「今日は何をやる?」と聞いても答えないので,スケッチブックに内容を書き連ねます。すると,勉強のところで頷くので,数学や英語の勉強をしました。「つぎは?」でも答えないので,また書き連ねます。「トーク」で頷くと,さあ困った。相手は一言もしゃべらないのですから。約1時間,一人で漫談のようにしゃべり続けたこともありました。半年くらい訪問し,アサンテの活動室に通所できるようになりました。通信制の高校に通いながらの通所です。あるとき,Aさんが「しゃべりたい」とメモのように書きました。それから,早口言葉などで発声練習をしました。少しずつ話せるようになりました。保護者の方が,1つのことを伝えるのに何十分もかかったのに,今は1分もかからないと言って喜んでくださいました。Aさんは,今年大学4年生になります。

これからどのような場所にしていきたいですか?

「なにがやりたい?」と訊ねると,「何でもいい」と答える子が多いです。自己主張ができないというか,してはいけないと思っているようです。今年度(2022年度)後半くらいから,やってみたいことを言える子が出てきました。一人が言うと,「何でもいい」という子は,楽しそうではないのに一緒にやっています。そういうことではなく,スタッフの示唆でもなく,今日はアサンテに「何をしに来たよ」と言える雰囲気を作っていきたい。お互いを尊重し,否定しないで,誰もが「今日生きていてよかった!」と思えるような場所にしていきたいと思います。

最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!

不登校は,病気でも問題行動でもありません。でも「みんなと同じことができない」ということで傷つき疲れているお子さんがたくさんいます。アサンテは,嫌なこと無理なことを強制することはありません。傷を癒し元気を取り戻すお手伝いをしたいと思います。

――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

◆フリースクール「フリースクール アサンテ」の詳細はこちら
https://miraitizu.com/freeschool/54311
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