フリースクールインタビュー企画!
今回は神奈川県でフリースクールを開催している「おっちー塾」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。
まずは自己紹介をお願いします
おっちー塾の塾長をしている但馬(たじま)です。おっちー塾にスタッフとして入ったのが2018年5月となります。おっちー先生のことが紹介された新聞記事を最初に見た時、近所にこんな活動を続けていらっしゃる方がいるんだと感動しました。その新聞記事を切り抜いて引出しにしまってから数年後、お話を聞きたいと会いに行きました。自分にも何かできるかもしれないと、お会いした日にスタッフになりました。2020年度からは塾長となり、子ども達の居場所を作るために日々活動をしております。
おっちー塾はどのようなフリースクールですか
おっちー塾は東戸塚駅近くの「とつか区民活動センター」にて、週3回(火・木・土曜)活動しています。
・様々な理由から学校に行きたくない、行けない、行かない。
・外国にルーツのある子どもたちで、日本語が分からない。
・勉強が分からない、コミュニケーションが苦手。
そうした学校に困りごとがある子どもたちが通ってくれています。
子ども達がその日やりたいことをやるのがおっちー塾のスタイルです。勉強をしたり、おしゃべりをしたり、カードゲームで遊んだりしています。
通常の活動以外にたくさんのイベントを行っています。遠足や宿泊体験、夏祭りやクリスマス会など季節を感じられる行事や、テニス体験会など身体を動かすイベントもあります。ちなみに、どのイベントも自由参加です。
フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください
設立しようと思ったきっかけについては、創設者のおっちー先生に答えていただきます。おっちー先生は元神奈川県立高校の教員でした。「今から20年程前、教育現場は大きな岐路を迎えました。問題が生じた時や訴訟対応の為に、あらゆることに対して“文書化”が強要された・・即ち、あらゆることを文書として保存しなければならなくなったのです。問題が起これば、状況・事前指導の有無・事後処理等文書化する為に莫大な時間と労力を費やさなければならなくなりました。また、経費削減のあおりで学校事務職の人員削減により教員の事務作業は増大しました。部活動顧問の時間外労働等々・・。教員の多忙化が顕著となりました。実は、この多忙化によって、問題を抱える生徒が居たとしても、年々増加する不登校生徒がいたとしても、じっくり相談に応じる時間がもてなくなったのです。学校現場では教員が多忙な為、そんな生徒に対応しきれない状況でした。定年退職を迎えるにあたり、現職教員が出来ない部分を、時間的余裕がある自分が『少しでも手助け出来れば…』の思いから、そしてまた、幸いなことに、大学生であった教え子たちが協力してくれておっちー塾を立ち上げることが出来ました。」
実際に設立してみてどんなことを感じましたか?
こちらも、おっちー先生からお話させていただきます。「『ボランティアは経済的に余裕がなければ出来ない』と強く感じました。何故ならば、“収入がない”中で、場所を確保し、光熱費や雑費をどう工面するかに相当苦労したからです。幸いなことに、徐々に生徒が集まって来てくれたこと。2年程の実績から『補助金・助成金』をもらえる機会を得ました。創設間もない“志ある団体”に対して、助成金が出るシステムがあるといいなぁ…と感じました。最初は苦労も多かったのですが、少しずつおっちー塾は成長して、今のように安定して活動してできるようになりました。たくさんの方々が関わってくださったからです。」
運営していて印象に残っていることがあれば教えてください
おっちー塾では、子どもたちが来るとまず「今日何をやりたい?」と希望を聞きます。英語を勉強したい、数学をやりたい、おしゃべりしたい、絵を描きたい、トランプなどで遊びたい・・・。子どもたちのその日やりたいことを、スタッフができるだけマンツーマンで行っています。おっちー塾が一番大事にしているのは「子どもたちにとって安心できる心地の良い居場所を作ること」です。通い始めた頃は、みんな緊張しています。何年も学校に行っていなかったり、家にこもっていた子もいます。一緒に過ごす時間の中で、少しずつ笑顔になったり、意見を言ってくれたり・・小さな変化がたくさんあり、それが活動しているスタッフの喜びでもあります。印象に残っていることは数え切れないのですが・・。そうやって、最初は緊張して固い表情をしていた子が、他の新しく入ってきた生徒さんにゲームのやり方を説明していたり、スタッフに冗談を言って笑わせてくれたりして、そんな変化を嬉しいと感じる瞬間瞬間が印象に残っています。
これからどのような場所にしていきたいですか?
おっちー塾が設立当時から大事にしてきたことを変わらず守っていきたいと思っています。子どもたちが誰からも否定されず、誰からも攻撃されず、安心して過ごせる居場所。その中で、「私は今のままの私でいいんだ」と感じてほしいですし、笑顔や自信を取り戻してもらえたら嬉しいなと思います。
最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!
学校に行かなくなったりして、お子さんが自分を責めたり、不安に思ったりすることもあるかもしれません。今、この瞬間にも、そんなお子さんを見ているのが辛い・・何かしてあげたい・・とインターネットで検索されている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。フリースクールという選択肢があるんだと知るだけでも、ちょっとほっとできたりします。まずは、見学に来てみてください。
困っている子ども達のために何かしたい!!というボランティアスタッフが、おっちー塾にはたくさんいます。心からお待ちしております。
――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。
- ◆フリースクール「おっちー塾」の詳細はこちら
- https://miraitizu.com/freeschool/1572
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