【インタビュー】フリースクール「ビーンズポケット初等中等部」に設立の経緯を聞いてみました

フリースクールインタビュー企画!
今回は鹿児島県 / オンライン(Zoom等)でフリースクールを開催している「ビーンズポケット初等中等部」について、設立から今に至るまでのお話を聞いてみました。

まずは自己紹介をお願いします

元教諭です。39歳で「教育というステージでやり残したことは無い」と思い一旦教育現場を離れて起業しました。

50歳を目前にして、残りの人生を何に捧げるべきか考え始めました。2019年に会社をたたみ1年間妻と世界を放浪。ネパールで教育に力を注ぐ友人と出会い、鉛筆を共有するような貧しさの中で学びに向かう子どもたちの姿に感銘を受けました。帰国後「3年間公立小中の教壇に立ち残りの人生を何に捧げるか決断しよう」と教育現場に復帰しました。出た答えが「教育行政の外から教育に携わろう」だったのです。

教育を取り巻く環境が激変する中、民間の視点で柔軟に時代に対応し、将来の教育像を模索しています。

ビーンズポケット初等中等部はどのようなフリースクールですか

学びたい人には学びを。表現をしたい人にはその方法を。疲れている人には休息を。好きなことをとことんという人には好きなだけ。

高校入試対策をしている生徒さんもいますし、画力をもっと伸ばすために毎日絵を描く生徒さんもいます。英語の勉強をひたすらする生徒さんもいます。それぞれの学ぶ意思に沿った学びを提案し、実現する代わりの学校(オルタナティブスクール)です。

フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください

過去に担任した教え子が不登校になっており、出席を認定してもらえるオルタナティブスクールを設立する必要があると考えたからです。個人事業を法人化してから立ち上げるつもりでしたが、今目の前で困っている人をそのままにしておくわけにもいかず2023年の9月1日に合わせて立ち上げました。個人事業を立ち上げてから半年のことでした。

また、鹿児島県南九州市は面積が広く、市の適応指導教室が遠くて送迎ができず通えないという声が直接届きオンラインでの設立となりました。

実際に設立してみてどんなことを感じましたか?

義務教育期間中にあるにも関わらず、学びに保護者が自腹を切らねばならない現状をどうにかしたいと思っています。現在、自治体への請願や陳情、基金や財団の設立を視野に入れて問題解決を図ろうとしている途中です。

また、フリースクールやオルタナティブスクール、保護者の集まりなど、様々な形で不登校の生徒さんや保護者に支援を届けようとしている民間の人々がいることに気づきました。ただ、不登校の生徒さんの実態を最も把握しているであろう行政側と民間の連携がうまくいっていないので、支援が必要な人に届かない現状があります。支援の輪を広げるためにも、できるだけ早く、行政と民間の協力関係を築くことが必要だと感じています。

運営していて印象に残っていることがあれば教えてください

高校入試の問題が読めなかった生徒さんが、3か月かけて漢検の音読から始めて、入試問題を読むことができるようになり、問題を解けるようになって「数学って楽しい」と言ったこと。そして、入試の過去問題を解いて7割越えの得点を取ったこと。

また「学校の不始末で不登校になり、義務教育期間であるにも関わらず教育にお金がかかるようになってしまった。いったいこの国はどうなっているんだ」というお話を聞いて確かにそうだと思ったこと。
そして、今、この課題の解決に向けて活動中です。

これからどのような場所にしていきたいですか?

学校に行けなということの後ろめたさを解消して、今、この瞬間を楽しんでいいのだという、そんな雰囲気を生み出す場所にしていきたい。
将来は、生徒たちが運営し、先生を雇い、学ぶ場所を自ら作るという学校を目指したい。

また、教育を取り巻く環境が大きく変わる中、これからの学校の在り方に一石を投じることができればいいと考えています。

最後に、このページを見ている保護者の方々にメッセージをお願いします!

何だか世の中、息苦しくないですか?私は学校で教壇に立っているときにとても息苦しかったのです。

「君のためだ」とか「社会はそんなに甘くない」と言いながら、いろいろなことを我慢させたり、言うことを無理やり聞かせたり。私が子どもだったら、こんな学校には行かないなと思いました。小さい私だったらきっと、先生方を見て「こんな大人にはなりたくないな」と思うでしょう。だって、大人(先生方)が楽しくなさそうなのです。

「夏休みが終わる。子どもたちが帰ってくる。嫌だなあ」とこぼす先生もいました。もう、教師を辞めたらいいのにと思いましたよ。転職したほうがお互いに(生徒も先生)幸せなんだろうなと。

何故、そんなにお互いに我慢して我慢させるのかよく分からないのです。実際に先生方に聞きましたが、明確な答えを返してくれた先生はいらっしゃいませんでした。

それぞれに合った、それぞれの場所で、人生を楽しく生きる。こんな選択をみんなができるようになれば、息苦しい世の中が少しずつ変わっていくような気がするのですが・・・私だけなのでしょうか・・・こんなことを考えるのは。

オルタナティブスクールが、息苦しい世の中を少しずつ変えていくきっかけになればいいと思っています。

――インタビューは以上です。
貴重なお話を聴かせていただき、ありがとうございました。

◆フリースクール「ビーンズポケット初等中等部」の詳細はこちら
https://miraitizu.com/freeschool/75622
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