カテゴリー その他
紹介者 ルルビ
紹介文

この小説は、純朴な北の地方のことばによる春の描写から始まる。
小説半ばまでは、貧乏だが明るい声が飛び交う家族が描かれている。母は、狭い家の中で子どもたちの息遣いを感じながら、肌着を繕ったり、寝間着を縫ったり、ぼた餅をこしらえたり、それで充分幸せだった。

小林多喜二の母、セキの物語。
昭和に生まれ育った私は、風潮や先祖代々受け継いでいるものが全身に染み込んでいるから感情移入してしまうのか。
それとも、母というものはそういう性質の生きものなのか。

時代とか思想とか宗教とか、人物のバックヤードについての論議はひとまず横に置き、子を思う親たちが抱える気持ちは皆同じではないか、と改めて考えさせられる一冊だった。

 

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