第2回未来地図講演会 ~質疑応答編~

第2回未来地図講演会の様子について、こちらでは当日の質疑応答について掲載させていただきます。

<講演会本編はこちら>

★2021年は、「〜不登校から広がるモノ〜」ゲストとして結さんにご登壇いただきました

なお、以下の点についてご了承をお願いいたします。

  • いただいた全ての質問にはお答えできませんでしたので、ご了承ください。
  • 質問文はそのままではなく、ポイントとなる部分のみ抜粋して掲載しております。
  • 今回の講演会では、個人的な質問に関してはお答えしておりません。

質疑応答編

引き続き加藤教授にご登壇いただき
司会進行は、Kunがつとめました

ご質問①
暴言からの身の守り方について

加藤教授
暴言は疲れますよね。吐いている人も疲れる。
決していい循環ではありません。
不登校関係なく、どんな状況であれ暴言を受け入れる必要はないと私は思います。
傷つくと伝えていいんです。
ただ、「暴言を吐くほどつらい」という理解・共感はそれとは別で持っておいていただきたいですね。

言わざるを得ないほどつらいことはわかっている、それも踏まえた上で私も傷つくからやめてほしいと伝える。
お子さんからは「仕方ないんだ」と返ってくるかもしれませんが、それについては、そうだよねと。

Kun

子どもと親の辛さは分けて考える、ということですね。

加藤教授
その辛い気持ちを暴言以外で出す方法を考えよう。一緒に考えない?と伝えていってください。
第三者に相談することも大切です。風通しを良くしていって欲しいなと感じました。

ご質問②
お手伝いなどやらせた方がいいの?

加藤教授
ケースバイケースです。どちらでもいいですよとお伝えすることが多いですね。
家での過ごし方を伺って、運動にもなるから生活リズムやホルモンも整うからやってみましょうと言うこともありますし、
コミュ二ケーションが目的なら、お手伝いに限らなくても良いと思います。
業務連絡くらいの会話しかないのであれば、コミュニケーションの手段として提案することもあります。
ただし、やりたいとかやれること、好きなことから提案することが大事です。
やりたくないことを提案するのはやめた方がいいですね。逆効果になってしまうこともありますから。

ご質問③
完璧主義の考え方、大人に対する恐怖感について

加藤教授
完璧主義に関しては、そういう風にならざるを得ない時期もあるので
少しおおらかにかまえていただけるとありがたいですね。
もしくは、こだわっている部分と別の部分にスポットライトを当ててみるのもいいかもしれません。
「完璧じゃなくても良いんだよ」と伝えたくても、親の言葉だと入らないことがあるんですよね。
受け入れやすい人の言葉など、色々な関係性を使うのもひとつの方法です。

恐怖心に関しては、親世代が苦手というお子さんもいらっしゃるので、
大学生さんや、おじいさん、おばあさんくらいの年代の支援員さんをお願いすることもあります。
一括りに「大人」と言っても色々な年代があるので、試してみられるといいかもしれませんね。

家族以外が怖い場合は複雑さが増すので、自分の安心できるフィールドで支援を始めていくことも大切かなと思います。

ご質問④
不登校と発達障害について

加藤教授
発達障害の子は、そもそも学校という場所は、居心地の悪いルールが多い場所なんです。
私は発達の関連のお子さんの不登校の場合は、二次障害を思って接しましょうとお話しします。
発達の凸凹に、いかに寄り添うかに考えをシフトすることが多いですね。
その子に合うやり方で寄り添ったり、対応を考えたりして、合理的配慮を含んで学校側と対応を考えるやり方をします。

発達障害のあるなしに関わらず、人には得意と苦手があります。
どんな方法だとその子が「生きやすい」のか、そちらにシフトしましょうと提案することが多いですね。

Kun

講演の中でも、「どのように合わせていくかを一緒に考える」とありましたね。
その子自身の特性に周りが合わせていくという感じでしょうか。

 

加藤教授
保護者の方に特にお伝えしたいのは、視点を長く持って欲しいなと。
学校に行くことがゴールではないので、発達を個性として、
特性を長所として伸ばして生きる方法も並行して考えたいですね。

 

ご質問⑤
「見守る」についてのアドバイス

加藤教授
難しいですよね。私もアドバイスが欲しいくらいです。
ただ一つアドバイスがあるとしたら、発達心理学を学ばれるといいかもしれませんね。
社会生活の能力のところで、「年齢相応のスキル」という話をしたと思います。
その子のできないところには手を伸ばして、出来るところは任せる。これなんじゃないかなと。
できるところに手を出すことが「干渉」だと思うので。

例えば昼夜逆転の相談もよく受けるんですが、起床時間に関しては、小学校の低学年と高学年で、私は全く違うアドバイスをします。
生活のリズムを親がコントロールすることが必要な時期もあると考えていますので。
高学年や中学生になると、
どうやったら起きられるか
本人に工夫してもらう
その工夫を一緒に考えていただきたい
です。
ただ、「工夫」というのは起こすことではなくて、起きる工夫ですね。
困っていたり失敗したら、一緒に考えてあげてくださいと伝えています。
一緒に困ることは悪いことではないので、親が必ずアドバイスをする必要もないと考えています。

Kun

子どもが小さいとコントロールしてしまいますよね。私もそうでしたが…。
様子を見ながらシフトチェンジしていくことが大切ですね。

 

ご質問⑥
基本的な不登校支援や対応について

加藤教授
冒頭でお伝えしたとおり、特効薬的なものはないですね。
あえて言うのであれば、
一人ひとりのお子さんの心の状態や
今いる時期を考えて支援する
ことがマストかな。
手当たり次第、みんなに同じ支援をするのは違うかなと思いますね。

ご質問⑦
学校に行きたい気持ちもあり、他の居場所への方向転換が難しい

加藤教授
ご本人の気持ちが一番ですから、それでよいと思いますよ。
高校は難しいと思いますが、小中学校は他の場所も並行して利用しても良いと思います。
最後まで登校を諦めたくないと、子どもや保護者の方に言われて嫌な気持ちになる学校もないと思いますし。
もしかすると、方向転換する最後の勇気が欲しいというご質問かもしれませんが、
ご本人のやりたいことを重視してくださいねとお伝えいたします。

ご質問⑧
HSCや子どもの適応障害、メンタル疾患などについて

加藤教授
不登校のお子さんの体の状態や精神疾患について
色々な本が出ていますし
色々なことをおっしゃる方がいらっしゃるなと思います。
もし気になる症状があるのなら、近くのお医者さんに気軽に行ってみたらいいですよと私はいつもお伝えしています。
いつがいいですかと言われることもありますが、行こうと思った時が行き時です。
近くの小児科や児童精神科に行くことは決して悪いことではありません。

子どものメンタル疾患は、実は大人の疾患と同じくらい種類があって、夜驚、場面緘黙、うつなど、幅広いんです。
なぜそんなに幅広いかと言うと、彼らが発達過程にあるからではないでしょうか。
色々な試行錯誤をする時期だから、すごく心が疲れてしまうし、
身体的には、成長に伴ってホルモンが大人よりもずっと活発になってくるので、
体の調子が整わないことが多々あるのではないかと。

なので、症状や病名を知ることではなくて、
心の動きや発達について知って、
何に困っているのかを大事にされた方が
解決には近い
かなと思います。
例えば起立性調節障害だから不登校になる
という因果関係もとくに解明はされていないので
同じことの繰り返しになりますが
どう合わせていくかを大事に考えていければと思います。

ご質問⑨
低学年の子への対応のポイント

加藤教授
先ほども申し上げましたが、低学年の子は登校の習慣がついていないことによるしんどさもあると思うんです。
特にこのコロナ禍で、急に休みになったりと、リズムは整いにくかった。
勉強よりは登校習慣、とお伝えすることが多いですね。行ける時に行く。

できるだけ手を入れていいですよ、と私は伝えます。
できたことを褒め、
できなかったら、以前できた経験を伝えて思い出してもらう。
励ます。
学校は安心できる楽しい場だという印象が持てれば、
まだ低学年のうちは戻っていけることもあるので、まずはそこに心を砕きたいと思います。

ご質問⑩
不安傾向が強い子ども

加藤教授
不安ってどうしても良くないものだと捉えてしまうんですが、生存本能としてあって当然なんです。
不安を悪者にしなくても大丈夫だと、まずお伝えしたいです。
不安が強くて人の目が気になる
不安が強くて人と話せない
それは当然だし、おかしなことではありません。
確かに人よりは強いのかもしれないけれど、
どちらかというと、ドキドキとどう付き合うかに考え方をシフトしてもらえたらなと。
不安があっても頑張れれば、それはそれで良いので、不安を取り除くのではなく、
どうすれば不安があってもできそうか、コントロールできそうか、そこを一緒に考えてもいいのかな。
ドキドキを消すよりも、ドキドキのサポート。
そうだよね、ドキドキするよね
ってまずは受け止めていけばいいのかなと思います。

ご質問⑪
不登校の子がどうして欲しいか、情報を集める方法

加藤教授
誰もが知りたいことですが、一番いい方法はここ(未来地図のような場所)だと思います。
不登校の親の会、あるいは当事者のいる会に参加する。
例えばフリースクールなどでは、今通っている学生さんが、
自分のことを話す会を設けているところもあります。
ぜひそのようなところに足を運んでみてください。一番欲しい情報が、一番手早く手に入ると思います。

ご質問⑫
学校側へ、このような知識を得てもらい、理解を深めてもらえる、より良いサポート体制を作るために親ができる働きかけはありますか?

加藤教授
校内研修の形で、保護者と先生が一緒に参加する研修を受け持ったことがあります。
一緒に勉強する機会を作ってみるのもひとつの方法かなと思います。
もし学校にスクールカウンセラーがいるなら、
研修をすることも彼らの仕事のひとつなので提案しても良いと思います。
あるいは養護の先生や、教育相談のコーディネーターの先生が受け持ってくれる学校もあるようです。

都道府県のレベルで、こういうお話を学校の先生にしてもわらないといけないからと
研修をしているところもあるようなので、そのような情報も共有されるのも良いかもしれません。
場所にもよりますが、講師として呼んでいただけたらお話しますよ!

最後に…

加藤教授
お子さんのエネルギーを失いすぎないようにしていただきたいなと思います。
あと、保護者の方はどうしても支援が入らなくなって
人と会えなくなって、ということも増えていくと思うので
どうか一人にならずに、孤立しないで欲しいですね。

支援の方はそこに手を入れていただければと。
一喜一憂することもあるかと思いますが、「お母さんはお母さん自身を生きましょうね」というお話を私はよくします。
お母さんである以前に、一人の人間として生きることもとても大事なので、不登校だけに囚われないでいただきたいなと思います。

以上が質疑応答の様子でした。
全てのご質問にお答えできなかったことは、重ねてお詫び申し上げます。
ただ、先生のお話の中に、それらの質問のヒントはたくさん散りばめられていたのではないでしょうか。
子どもも保護者も、心の基礎を大事にして、エネルギーが枯渇しないように、自分自身の人生を生きてくださいね。

講演資料について

こちらに掲載した資料は、ブログやSNSなどへの転載は禁止とさせていただきます。
資料をお持ちの方も、著作権は加藤陽子教授に帰属しますので、無断転載不可となっております。
なお、講演資料については、後日加藤教授のホームページ(https://akikokato-lab.jimdosite.com)で掲載される予定ですので、お楽しみにお待ちくださいませ。

最後になりますが、加藤先生、本当に素晴らしいお話をありがとうございました!
ご参加くださった皆さまも、長い時間本当にありがとうございました。

お知らせ

未来地図では、オンラインによる親の会をほぼ毎月開催しています。
今月は、10月30日(日)20時OPEN。
お申し込みもすでに始まっていますので、保護者の方が孤立しないためにも、ぜひお越しくださいませ。
お申し込みフォームはこちらになります:
https://miraitizu.com/entry-miraicafe

 

 

 

 

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