オレンジの日記『「逃げても気持ちが落ち着くわけじゃない」』

息子がそう言った。
今日、息子の運転する車に乗った。2回目。
出発前にバック駐車の練習、とりあえずできた。その後、スーパーへ。
初めて運転する道で、対向車との譲り合いとか、信号のないT字路とか、ヒヤっとする場面があって、私にその場で言われる。
スーパーに着いてバック駐車しようとしたとき、前の車が近かったので、「近いよ」と言ったら、「ああもう!」と怒る。運転を代わった。

「どうした?」と聞くが、「いいよ、行こう」と一人で行ってしまう。
カートをもらうと、今度は隠れるように真後ろを歩いてくる。
「怖いわ」と言うと、「帰るわ」とスーパーから帰ってしまう。

高校生かよ。そうやって逃げるんだな。
しまったなぁ。もう二度と運転しないって言っちゃうかなぁ。
家のカギは車の中だから家入れないんだけどな、まぁいいか。

私はそのまま買い物を続ける。10分くらいしたら戻ってきた。
「びっくしたー」と言うと、「うん」とそのまま買い物を続けた。
私の運転で家に戻った。
無言のまま家に着いて、このまま部屋に引きこもるかと思ったら、買い物した物を冷蔵庫に入れるのを手伝ってくれた。コンタクトを取って部屋に戻った。

野菜の下ごしらえをしながら、どうしたらよかったか考えた。
私が乗っていれば事故にはならない。気を付けることを出発前に言えばいいか。
もし、上手くいかないから運転やめる、そう言ってきたら、そういうところがよくないところだよ。って言おうか。これって、就職と同じ。つながってる。無駄になってないかもな。

しばらくしたら、「ごめんね」と言いにきた。
「座って。今日どうだった?」と聞くと、「またやりたい。」と言う。
へぇ。意外だな。
「今日は何が一番大変だった?」と聞くと、「横からいろいろ言われると考えられなくなってしまう」と。そうだよねぇ。
バック駐車が昨日より上手だったこと。ヒヤッとしたのは初めての道だったからということ。同じ道で練習すればできること。一か所だけ見ていたからいろいろ見ないといけないこと。私が一緒に乗って見ているから、事故にはならないこと。今度は、前もって危ないところを家で確認してから、同じ道を何度か練習しよう。そう伝えた。

しばらくしたらまた降りてきて、「バック駐車の練習していい?」と。
いいよ、と付き合う。危なかったらストップだけ言うね、止まってね、と。
公園帰りの親子に不審な顔されたが、気にしない。
さっきより上手になってた。
「いいじゃん」と言うと、「落ち着けばできるんだね」と。

家に帰って、「またやってみようっていうのいいね。」と言うと、「やるしかないから」って。
「二度と運転しないって言うかと思ったよ」と笑って言うと、
「いやぁ。逃げても気持ちが落ち着くわけじゃないから。だったらやるしかないかなって。」と。そんな風に言うの、初めてだった。
「そうかー成長したねー。」にこにこして、そう褒めた。
成長が嬉しくてちょっと泣けた。洗濯物干してごまかした。

「今度のカウンセリングまでに運転上手くなってるといいなぁ」って。
「逃げちゃったから買おうと思ってたハンバーグ買えなかった。今度また買うわ」って。
「車校みたいなところが外出のリハビリにちょうどよかったよね。体力と気力が落ちるのが心配なんだよね。」そう伝えると、「そっちもまた考えるわ。」そう言った。
支援センターの方が、「本音を話し合えるといい」と言っていたけど、それもちゃんと話せた。

0点の日かと思ったら、100点だった。

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